(『天然生活』2021年12月号掲載)
冷えから体を守り、不調につなげない工夫を
冬の養生の基本といえば、なんといっても冷え対策。食べ物の力を借りて、内側から温めるだけでなく、暮らしのなかで防寒することも大切です。
とくに「下半身の冷えにはご注意」と瀬戸先生。
「足腰と腎は関連していますから、下半身を冷やすことは、腎を弱らせます。腹巻きやレギンスをはくのはもちろん、椅子に座ったときに腰まわりがスースーするようなら、クッションを挟んだりするのもおすすめです」
足首や足裏も冷えています。通気性の悪いルームシューズやソックスは蒸れて汗をかき、それが冷えの原因になっていることも多いとか。
靴下は重ねるよりも、温かい1枚を、汗をかいたらすぐにはき替えるほうがいいそうです。
「植物にたとえるなら、冬は種が土の中でじっと芽吹きのエネルギーをため込んでいるような時季。こもって養生するというと、マイナスなイメージがあるかもしれませんが、コツコツと内側を充実させることにより、春に勢いよく芽吹き、夏に向かってのびのびと葉や根を広げることができるのです。次にやってくる季節のためにも、冬を大切に過ごしましょう」
体を冷やさないための生活習慣 1
おへそから下は冷やさない
東洋医学では、おへその下にある「丹田(たんでん)」には、生まれたときに親からもらった生命エネルギーのもとである「先天の精」が蓄えられていると考えます。
ここが冷えるとひどいダメージになるので、腰まわりから下半身をきちんと温めることが大切。靴下の重ねばきは汗で冷えることも多いので、こまめにはき替えましょう。
体を冷やさないための生活習慣 2
首元を冷やさない
首を下に曲げたとき、後ろの大きく盛り上がる骨の下に位置するツボ「大椎(だいつい)」。ここが冷えてこわばってくると、体に風邪が入ると東洋医学では考えます。
「風邪をひきそうだな」と予感がするときは、カイロや温シャワーなどで早めに集中的に温め、室内でもマフラー、寝るときにもタオルを巻くなど冷やさないようにして。
体を冷やさないための生活習慣 3
胃腸を冷やす食べ物に注意
胃腸を冷やすものは「冷たいもの」「甘いもの」「生もの」。胃腸が冷えると衛気が弱まり、風邪をひきやすくなります。
「暖房が効いた部屋でアイスクリーム、年末年始にビールや刺し身など、冬場でも冷たいものを食べている人は、驚くほど多いのです。当たり前ですが、これらを食べれば確実に体は冷え、不調の原因に発展します」
体を冷やさないための生活習慣 4
ホットカーペットや空調よりも太陽の光
電気を使った暖房器具は乾燥するので、知らないうちに「陰」を消耗する原因に。
一方で太陽の温かい光を浴びることは、体と心のエネルギー源「気」=「陽気」を体に取り込むことができ、体内の陰陽バランスをとるのにも有効です。
冬はメンタルが落ちる人が多いですが、それは陽気不足。日光を浴びることが元気の秘訣です。
〈イラスト/松尾ミユキ 取材・文/田中のり子〉
瀬戸佳子(せと・よしこ)
国際中医学薬膳師。東京・青山の「源保堂鍼灸院」にて「簡単、おいしい、体によい」をモットーに、東洋医学に基づいた食養生のアドバイス、レシピ提案を行っている。著書『お手軽気血ごはん』(文化出版局)が好評。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです