(『天然生活』2021年12月号掲載)
冬じたくは、冬ごもりの相棒“ストーブ”の準備から
きゅうちゃん、ぽんちゃんという2匹の猫と暮らし、和のおしゃれや雅楽、京都の伝統的なものやことを自然体で楽しむ暮らしぶりが人気の松本えり子さん。
冬は松本さんが大好きな季節で、初秋になるとまずは1階リビングに2台のストーブを準備。
暖をとるだけでなく、好物の小豆などをのんびり煮炊きするのがこの時季の楽しみ。じんわり熱が伝わる土鍋が好きで、山本教行(のりゆき)さんが主宰する鳥取「岩井窯」の素朴で温かな風合いのものを愛用しています。
ストーブは猫用の湯たんぽを温めるのにも重宝し、じか火OKのものを2匹のために2つ用意。
また、神社の雅楽会に所属し、神事の際にご奉仕として笙(しょう)を奏でている松本さん。この時季に欠かせない暖房器具に手あぶり火鉢があります。
「この笙は桜の蒔絵にひと目ぼれして、先生から譲っていただいた大切なもの。自宅で練習するときも温めないと音が出ないので、炭火で手と笙をあぶることができる、小さな火鉢を使うように。以前は別の容器を火鉢として使っていたのですが、ぽんちゃんが灰を掘るようになってしまって(笑)、ふた付きのものにしました」
“和の衣替え”をして、季節の移ろいを楽しむ
きもの、懐紙(かいし)といった“和の衣替え”をするのも支度のひとつ。
つづらから冬に着る袷を出し、和簞笥へ入れ替え。虫干しや防虫香の入れ替えもこのタイミングですることが多いそう。
また、包んだりふいたりと、いろんな用途に使える懐紙も、 イチョウや雪景色など秋冬モチーフに衣替え。
「食事するときの受け皿にしたり、メモ用紙としても使えるのでとても便利なんです」
猫たちと室内で過ごす時間に幸せを感じつつ、裏山などに登り自然と触れ合ったり、きもので骨董市などに出かけるのも好きだそう。年末は東寺の「終(しま)い弘法」、北野天満宮の「終い天神」で、お正月に使うおめでたい文様の食器を探すのも恒例の過ごし方。
「骨董のよしあしはよくわからないのですが、動物モチーフが好きで、見ると手に取ってしまいます」
古いもの、手仕事のもの、そして自然のものが、穏やかに調和する松本さんの暮らしには、冬を愛する人ならではの、魅力的な道具や工夫がいっぱいでした。
松本さんの冬じたくのスケジュール
〈9月〉
・ストーブの芯と加湿器のフィルター交換
・編み物スタート
・手ぬぐいや懐紙も衣替え
〈10月〉
・手あぶり火鉢の準備
・きものの虫干しと衣替え
・白湯の準備
・朝晩ストーブ登場(猫のため)
〈11月〉
・湯たんぽの準備(猫のため)
・金柑のシロップ漬づくり
〈12月〉
・白菜の漬物づくり
〈撮影/山口 明 取材・文/野崎 泉、鈴木理恵(TAND)〉
松本えり子(まつもと・えりこ)
京都生まれ。着付師として、人との縁を大切に、きものに携わる。愛猫との暮らしや、和の楽しみなどをSNSで発信中。インスタグラム@ericom_q
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです