(『天然生活』2020年2月号掲載)
体からのサインを受け取り自然治癒力を高める
大切にしているのは食。健康の礎は日々の食事で築けると思い、家族の体調や様子を見ながら、せっせと料理しています。
「家族が風邪をひきそうだったら、根菜をたっぷり入れたスープで体を温めるようにしたり、おなかを壊していたらごくシンプルな献立にして、梅干しを取り入れたり。ひとり暮らしを始めたときに、体を整える料理を習い、それを実践しながら、毎日口にして、自分の体調が左右されるのを体感。食べ物と体の関係って大きいと感じたんです。薬は箱の成分を見ても何がどう体に作用するのかはわかりませんが、食べ物ならわかる。だから、まずは自然治癒力を引き出すことに気をつけて食事をし、それでもダメだったときに、薬や医科に頼るようにしています」
「子育てハマり中」の松本さんが家族のすこやかさのために気をつけているのは、母である自分が笑顔でいること。子育ても家事も楽しくやるにはどうしたらいいか? 考えています。
だから、力の入れどころと抜きどころを意識して今日もにこにこ健やかを目指します。
一品料理でも野菜をたっぷりと
以前は、品数多めの献立でしたが、出産後は一皿料理のみということも。
「無理してあれこれつくるのはやめようと……。その分、一皿のなかでたくさんの栄養が摂れることを意識しています。動物性タンパク質1に対して、野菜はその倍くらい。たとえばパスタにしても、ソースに合う野菜を数種類入れるようにしています」
水まわりだけは毎日掃除を
「料理をする仕事なので、台所が汚れていると落ち着かなくて。汚れをためるとあとが大変と思い、毎晩、五徳を洗い、排水口のかごまで洗うようにしています。日々続けていると、汚れもそこまでなく、お手入れもかえって楽ですよ」
トイレと洗面所は朝に掃除。ほかの場所が多少滞っていても、水まわりがきれいだと、気持ちよく健やかに過ごせるのだそう。
頼りにしている健康のもと
梅エキス
松本さんの実家の庭で採れる梅で、梅干しやシロップをつくる梅仕事は夏の恒例。梅の実を煮詰めたエキスは、梅の成分が凝縮されていて、薬代わりに重宝している。
「おなかの調子がよくないときや、食べすぎたりしたときに、ほんの少しスプーンですくってなめます」
三年番茶
緑茶の茶葉と茎を摘み取って天日干ししてよく乾燥させ、3年間熟成させたのち焙煎したお茶。
熟成させることでカフェインやタンニンなどの刺激成分がなくなりまろやかな風味に。カテキンが豊富で、体を温める効果も。
「香りがよいです。毎朝やかんで煮出して飲んでいます」
<撮影/砂原 文 取材・文/鈴木麻子>
松本朱希子(まつもと・あきこ)
料理家。季節の食材を多く取り入れたまっすぐな料理を提案する。著書に『かえる食堂のおやつの本』(扶桑社)など。http://www.kaeru-shokudou.com
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです