(『天然生活』2021年11月号掲載)
ペーストのつくり置きで、食事を豊かに
初秋から晩秋に向け、たくさんの食材が旬を迎えます。庭の木が果実を実らせたり、栗やきのこが生産者から届いたりするのを心待ちにする方もいるでしょう。
おいしさを逃さずに調理し、衛生的にびん詰めにする方法を、料理家のワタナベマキさんに教わりました。
保存食というと甘いものを想像しがち。ですが、ペーストをつくっておくと、ふだんの食事がさらに豊かになります。
*びん詰めの食品を取り出す際は清潔なスプーンを使用し、ふたはすぐにしめましょう。パン等に塗るのに使用したスプーンを再びびんに入れることは避けてください。
びんの消毒
鍋にびんとかぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸騰後5分煮る。トングなどで取り出し、キッチンペーパーをしいたバットに開口部を下にしておく。手で触らないようにする。
※びんが熱く、滑りやすいのでやけどに注意。
ふたは消毒用アルコールスプレーをして、キッチンペーパーでふき取る。
※アルミのふたとゴムパッキンは変型や劣化することがあるので、煮沸はしない。
ペースト3種
さつまいもとチーズのペースト
甘くてまろやかなペーストは、パンに塗ったり、肉料理に添えたり。これさえあれば、の一品です。
材料(つくりやすい分量)
● さつまいも | 1本(400g) |
● マスカルポーネチーズ | 100g |
● 白ワイン | 大さじ2 |
● オリーブオイル | 大さじ3 |
● 塩 | 小さじ2/3 |
つくり方
1 さつまいもは皮をむき、1cm厚さの輪切りにし、水にさっとさらす。
2 1を鍋に入れ、かぶるくらいの水と白ワインを注ぐ。中火にかけ、やわらかくなるまで7〜8分ゆで、水けをきる。
3 フードプロセッサーに2、マスカルポーネチーズ、塩、オリーブオイルを入れ、なめらかになるまで攪拌する。
4 熱いうちに、消毒したびんに入れる。適量のオリーブオイル(分量外)を表面に注ぐ。次のページ「脱気の方法」を参考に。
ペースト3種
栗のペースト
芳醇な栗を丸ごと味わう、塩味のペーストです。バターと栗の香りが混ざり合う、秋のごちそう。
材料(つくりやすい分量)
● 栗 | 10個 |
● 玉ねぎ(粗みじん切り) | 1/2個分 |
● A | |
・白ワイン | 100mL |
・水 | 150mL |
・塩 | 小さじ2/3 |
● オリーブオイル | 小さじ2 |
● バター(有塩) | 80g |
● 粗びき黒こしょう | 少々 |
つくり方
1 栗は熱湯に15分ほどひたし、鬼皮をむく。水けをふき、2等分に切る。
2 鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけ、玉ねぎを加えて透きとおるまで炒める。栗を加えてさっと炒め、Aを加えてひと煮立ちさせ、あくを取る。ふたをして弱火にし、栗がやわらかくなるまで20分ほど煮る。
3 ふたをはずし、中火にして水分が1/3くらいになるまで煮て、水分を飛ばす。バターを加えてなじませる。
4 粗熱を取り、フードプロセッサーでなめらかになるまで攪拌し、こしょうを加える。
5 消毒したびんに入れ、次のページ「脱気の方法」を参考に。
ペースト3種
豚肉のリエット
薄切り肉を使い、短時間で完成するリエット。しっとりなめらかで、世代を問わず愛されます。
材料(つくりやすい分量)
● A | |
・豚バラ薄切り肉(1cm幅に切る) | 300g |
・玉ねぎ(粗みじん切り) | 1/2個分 |
・セロリ(粗みじん切り) | 1/3本分 |
● B | |
・ローリエ | 1枚 |
・タイム | 3本 |
・セロリの葉 | 2枚 |
● 白ワイン | 100mL |
● 生クリーム | 100mL |
● 塩 | 小さじ1 |
● 粗びき黒こしょう | 少々 |
● にんにく(つぶす) | 1片 |
● オリーブオイル | 小さじ2 |
つくり方
1 鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて中火にかけ、香りが立ったらAを加える。肉の色が変わり、玉ねぎが透きとおるまで炒める。
2 白ワインとBを加えてひと煮立ちさせる。ふたをして、弱火で7〜8分煮る。
3 粗熱を取り、Bを取り除く。フードプロセッサーでなめらかになるまで攪拌し、生クリーム、塩、こしょうを加えさらに攪拌する。
4 消毒したびんに入れ、オリーブオイル適量(分量外)を表面に注ぐ。次のページ「脱気の方法」を参考に。
*「ペースト3種」は、冷蔵庫で1カ月保存可能。開封後は1週間以内に食べきる。
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<料理・スタイリング/ワタナベマキ 撮影/広瀬貴子 取材・文/河合知子>
ワタナベマキ(わたなべ・まき)
料理家。グラフィックデザイナーを経て料理の世界へ。伝統的な和食からエスニック、保存食まで豊富な知識と抜群のセンスでつくり出す。ていねいなライフスタイルにファンも多い。近著の『和えもの 春夏秋冬』(誠文堂新光社)をはじめ、多数のレシピ本を出版している。インスタグラム@maki_watanabe
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです