Q: 咳と痰の症状が長引いて、人と話すのがつらいです
こんなに長く不調が続くとは思わなかった!
咳と痰が長引いています。夏頃に咳が止まらなくなり、風邪かと思っていたのですが治らないので病院に行ったところ、気管支炎と喘息を発症していました。
薬をのんでいたのですが、かれこれ3カ月くらい不調が続いていて一進一退のため、最近、かかりつけの病院で漢方に切り替えることになりました。
いまも喉の奥に痰が常にあるような感じがして、声を出し続けるとつらいので、人と会って話すのもおっくうになってきてしまいました。食事やふだんの生活でも改善できることはありますか?
(るーみんさん 40代/会社員)
A:呼吸や姿勢に気をつけて、喉を潤す心がけを
これからの乾燥の季節はさらに注意しましょう
原因はアレルギーやストレスかも。深い呼吸で肺の機能を高めましょう
咳や痰などが風邪の後に長引く場合には、気道粘膜の炎症や気道の過剰な分泌物があり、それを排出しようとするために咳が続くということがあります。その原因としては、気管支炎や気管支喘息、肺炎などが挙げられます。
るーみんさんの場合には気管支炎と喘息が合併されたようですね。気管支炎はウイルスが原因で発症することが多いですが、感染以外にもこれらの症状が長引く場合には、アレルギーやストレスも関係している場合もあります。
咳や痰の症状を改善するために普段の生活でもできることとして、腹式呼吸を心がけてみましょう。横隔膜を大きく動かすことで深い呼吸をすることも大切です。
スマホなどで姿勢が前屈みになったり、呼吸が浅くならないように注意してください。吸気(すう息)は鼻から大きくゆっくり、呼吸(はく息)は口を窄めてゆっくり吐くようにしてみてください。
これから寒くなり、乾燥してくる季節ですので、お部屋には加湿器をつけ、外出時にはマスクをすることで湿度を保つと痰が出やすくなりますし、咳も止まりやすくなります。
同じ理由で適度な水分補給も心がけてください。習慣的にウォーキングや軽いランニング、水泳などの有酸素運動を行うことで肺の機能を高めることもよいと思います。タバコは症状を悪化させますので禁煙が必要です。
喘息などではかつてはあまりよいお薬がなくて、救急で点滴をしたり、入院が必要になる患者さんも多かったのですが、現在は吸入薬や気道の過敏を抑えたり、痰の排出を促進するよいお薬も出ているため、呼吸器科などできちんと治療を継続すればコントロールできる時代になってきています。
咳や痰が長く続く原因に、肺の病気以外にも副鼻腔炎などの鼻の病気や胃酸が逆流して気道を刺激し、咳が続く逆流性食道炎などの病気が隠れている場合もあり、その場合には一度耳鼻咽喉科や消化器内科などを受診する必要もあります。
咳や痰をおさえるのにおすすめの食べもの
咳や痰によい食べ物としては喉を潤す作用のある梨やりんご、ハチミツなどがおすすめです。
逆に避けた方がよい食べ物としては刺激物を多く含むキムチやカレーなどは控えるようにし、消化のよいものをゆっくりよく噛んでお腹八分目にして、あまり夜遅くは食事を取らないようにしましょう。
咳や痰をおさえるのにおすすめの漢方
咳や痰に使われる漢方薬としては気道を潤して咳を抑える麦門冬湯(ばくもんどうとう)や滋陰降火湯(じいんこうかとう)、炎症を抑え痰を減らし、咳を抑える柴朴湯(さいぼくとう)、体力をつけて咳を抑える滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などがあります。
またストレスによって喉の詰まり感や咳が出る場合があり、昔の人はこれを咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)と言って“喉に炙った肉がつまったような感じ"と言いました。
今で言うと咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)ということになるのですが、このような状態には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)や柴朴湯(さいぼくとう)などの漢方薬が使われます。
今回の記事がるーみんさんはじめ、長引く咳でお悩みの皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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