(『天然生活』2023年3月号掲載)
毎日1分の“小掃除”で、気楽にかまえて
さあやるぞと意気込む掃除は負担になりがち。
葉山の古民家で暮らす山田さんは気合いいらずの「1分掃除」を習慣にしています。
「取り回しの悪い掃除機ではなくほうきとちりとりで、雑巾は洗うのが手間だからウエスで。汚れが気になったタイミングで、ぱぱっとやります。窓ガラスや網戸などの体力を使う掃除は夫や息子にお任せです。気楽な小掃除と役割分担でずいぶん楽になりました」
重曹やクエン酸を使ったナチュラルクリーニングを取り入れているという山田さん。
少し前から灰汁の手づくり洗剤も使うように。
「市販の洗剤をやめたら、それまで悩まされていた手荒れが解消されて。そのことも、掃除に向かう憂鬱を軽くしてくれましたね」
山田さんのすっきり暮らすアイデア 01
気づいたその場で1分掃除
時間を決めて一気に掃除するのではなく、こまめに手を動かします。
ほこりや汚れに気づいたときにほうきで掃き、ウエスでふく。
お風呂のタイルは30cm四方くらいを入浴ついでに磨き、その横の30cm四方を次の日にまた磨く。
だいたい1~2分という短さもポイントです。
「まとまった時間を取る余裕もないし、『やらなきゃ』という負担にならないのがいいんです。とくにお風呂はタイルの面積が広いので毎日少しずつ。1分掃除は私にとって、気持ち、体力、時間、すべてにおいて続けられる方法だと思っています」
山田さんのすっきり暮らすアイデア 02
家具は最小限に、物は押し入れに
4つの和室がつながった生活スペースにある家具は、桐たんすとちゃぶ台、火鉢くらいと少数。
「生活感がないと驚かれますが、ガランとした空間は掃くのもふくのもスムーズです。物や本は押入れにしまうからほこりもつきにくい。たまにはたきをかけるくらいですみます」
山田さんのすっきり暮らすアイデア 03
洗剤を使わない
環境負荷を減らすために市販の洗剤は卒業。
薪ストーブと火鉢の灰を利用したアルカリ洗剤で畳以外の家じゅうを掃除します。
「換気扇の油汚れもしっかり落ち、床や壁をふくときや洗濯にも使えます」
食器洗いは洗剤不要の竹ガーゼのキッチンクロスを選択。
山田さんのすっきり暮らすアイデア 04
コンパクトな掃除道具を使う
ほうき、ちりとり、はたきがメインの掃除道具。
「気づいたらすぐ」を実践しやすい小ぶりタイプをそろえています。
「小さい道具は玄関や床をさっと掃き、ほこりを取るのに便利。白木屋傳兵衛のほうきと、はりみのちりとりのセットは大小使っています」
山田さんのすっきり暮らすアイデア 05
テーブルや作業台はフラットに
台所の作業台に置いていた水切りかごをやめ、調味料などもその都度なるべくしまって、物がない状態を心がけます。
「フラットだと、さっとふいて掃除を終わらせられて、気持ちも見た目もスッキリ。とくに1日の終わりはきれいに整えて、あわただしい朝の支度に備えます」
山田さんの“続かなかった”掃除法
あちこちに掃除道具を置くこと
気づいたときにすぐ掃除できるように、掃除道具やごみ箱を各所に置いていた山田さん。ところが、物があることで散らかって見え、気になってしまったそう。
「掃除道具はひとつの場所にまとめ、ごみ箱はキッチンだけに。空間が広くなって掃除しやすくなりました」
〈イラスト/須山奈津希 取材・文/熊坂麻美〉
山田奈美(やまだ・なみ)
食べごと研究所主宰。葉山の自宅「古家1681」で和食薬膳教室や発酵教室などを開催。『菌とともに生きる発酵暮らし』(家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などの著書がある。インスタグラム@nami_yamada.tabegoto
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです