(『天然生活』2022年3月号掲載)
バランスのよさと時短を叶える「ていねいな手抜き料理」
栄養バランスがよく手早い献立といわれたら、「まずごはん。そしてタンパク質素材と野菜。調味料を少なく」と話す今泉久美さん。
野菜は1食100g以上、タンパク質素材は、鶏ささみなら1本は食べたいところ。
さらに、牛乳、豆腐、ちりめんじゃこなど、タンパク質を含む食材をプラスします。
あえものなら、すりごまやかつおの削り節、しらすなどをのせて、少量でも加えるのがコツだそう。
「野菜は、生で食べるとしっかり咀嚼でき、ビタミンの損失も少ないことが利点ですが、加熱するとカサが減るため、量をたくさん食べられます。また、油を一緒に摂取することで、ビタミンの吸収もよくなるのでどちらも大切です」
もうひとつ、ひとり分の時短料理で悩ましいのが、うま味を出すのが難しいこと。
短時間ではおいしさが出にくいため、今回はスープの素を少量使用。
ポイントは、どんな調味料も入れすぎないこと。
細かい調味の手間も省け、時短にもつながります。
「肉野菜炒めのような料理の場合には、味を薄く仕上げて梅干しを添えて食べるのも手。梅干し、ちりめんじゃこ、キムチなど、塩分の強い素材を、具と捉えず調味料と考えます。さけフレークも、味付けの調味料と考えれば、魚の栄養は摂れて、調味料は減らせます」
メニュー その1
さけフレークといろどり野菜のチャーハンのつくり方
塩を加えず、さけフレークの塩分を生かして。葉物に包むのもおすすめ。
材料を同じ大きさに切り、火通りを均等に。食感もさまざまで栄養満点。
材料(1人分)
● 温かいごはん | 150g |
● さけフレーク(焼きざけ、ハムの細切り、ちりめんじゃこなどでも) | 大さじ2(約20g) |
● ピーマン | 2個 |
● しいたけ | 1個 |
● 長ねぎ | 1/3本 |
● 溶き卵 | 1個分 |
● 酒 | 大さじ1/2 |
● こしょう | 少々 |
● しょうゆ | 小さじ1/2~1 |
● 油 | 小さじ2 |
つくり方
1 ピーマンは種を除き、しいたけは石づきを取って、ともに粗いみじん切りにする。長ねぎは縦半分に切って小口切りにする。
2 フライパンに油を熱してピーマンを入れ、さっと炒める。ピーマンをフライパンの端に寄せ、空いた部分に溶き卵を流し入れて、上にごはんをのせ、さけフレーク、しいたけを加えて酒をふり、炒め合わせる。
3 全体がほぐれたら長ねぎを加えて炒め、香りが立ったらこしょうをふってしょうゆを加え、炒め合わせる。
メニュー その2
豆腐と小松菜のとろみスープのつくり方
ひとり分を短時間でコクを出すには? ということで、鶏ガラスープと麺つゆの力を借りた、塩なしスープです。
おろししょうがを添えても。
材料(1人分)
● 木綿豆腐 | 1/4丁(50~75g) |
● 小松菜 | 1株(50g) |
A | |
・水 | 150mL |
・酒 | 大さじ1 |
・鶏ガラスープの素 | 小さじ1/2 |
B | |
・麺つゆ(3倍濃縮) | 小さじ1弱 |
・こしょう | 少々 |
C | |
・片栗粉 | 小さじ1 |
・水 | 小さじ2 |
つくり方
1 豆腐は2cm角に、小松菜は2〜3cm長さに切る。
2 小鍋にAを煮立てて小松菜を入れ、ふたをして弱火で2分煮る。
3 豆腐、Bを加えて、再び煮立ったら、混ぜ合わせたCを加える。さっと煮てとろみをつけ、火を止める。好みでおろししょうがを添えても。
〈撮影/萬田康文 取材・文/吉田佳代〉
今泉久美(いまいずみ・くみ)
料理研究家、栄養士。経験に基づく、野菜たっぷりで栄養バランスのよい、健康的な料理が人気。現在、女子栄養大学栄養クリニック特別講師。栄養クリニックにおいて料理指導を行っている。著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです