憧れの朝ごはん風景は、韓国ドラマから
みなさん、今日の朝ごはんは食べましたか?
先日、ある企画でタンパク質朝ごはんのメニュー案を出しました。
ところが、「ちょっと韓国風に偏ってますね〜」と、わたしの大好きなピビンバ風混ぜごはんや韓国鍋でつくった汁ものなどがどんどん外されてしまいました……。
わたしがリアルに食べているものを並べただけで、汁ものにいたっては韓国鍋には入っているものの中身はただの味噌汁。そんなに偏っているつもりもなかったのですが。
とはいえ、コロナ禍以降、韓国ドラマを継続的に見ているわたしにとっては、ドラマに出てくる朝ごはん風景は憧れであり、自分の日常と錯覚するほどなじんでしまっているもの。そんなわたしがつくってる朝ごはんは、もしかすると韓国風に見えるかもしれません。
実は最大の憧れは、ドラマに登場する声がやたらと大きくてパワフルなお母さんやおばちゃんたち。
3年前に「ずっと疎かにしてきた朝ごはんを改善しよう」とタンパク質朝ごはんをスタートしたときにも、真っ先に浮かんだのはそんなおばちゃんたちと朝ごはんの風景でした。
韓国のごはんには、あんなに元気になれる秘密があるのかも? せっかくがんばって朝ごはんを食べてみるなら、元気なおばちゃんたちにぜひあやかりたい!
いそいそとネットで検索して、韓国鍋とスプーンを注文したのでした。
韓国のお母さんたちが教えてくれた「ごはんを大切にする」ということ
「ごはん食べた?」が挨拶代わりだという韓国では、食事は本当に大切にされているようで。
とくにお母さん、おばちゃんはごはんを大切にする人たちの象徴。先日観ていたドラマでも、面白いシーンがありました。
パワー全開の猛進型ヒロインが、あるミッションをクリアするために目をつけるのが、そんなおばちゃんたちの親切心。ガードが固くてなかなか近づけないおばちゃんたちを突破するために、彼女はすごい方法を思いつきます。
「あの〜」
「ダメダメ、近寄ってこないで。わたしたちは甘くないわよ」
「でもわたし。お腹が空いてるんです……」
「……!? そうなの!?」
「ああ〜、お腹がすいて倒れそう……」とウソでもよろけて見せられたらば、世話焼きの韓国のおばちゃんたちはもう放っておけません。いてもたってもいられず、あっさり陥落。
「ほら、もっと食べなさい!」と、ヒロインの前にごはんをもりもり並べてしまう、というコミカルな展開には思わず吹き出してしまいました。
そのおばちゃんたちは、まさに40〜50代のわたしたちの年齢。ほかの番組や映画にも登場する韓国のパワフルなおばちゃんたちは、「食べなきゃ死んじゃうから!」と、とにかく食べさせなくちゃ、の愛情とおせっかいに満ち溢れています。
朝から、しっかり豚肉や牛肉の煮物やスープなどを出している情景が多いのにも驚くばかり。ある紀行番組では、にんにくの炊き込みごはん(!)が紹介されていました。ゴロゴロと丸ごとにんにくが10個は入っていそうなごはんをつくるおばちゃんを見て愕然としたものです。
もしかしたらそんなおばちゃんたちも、子どもや周りの世話ばっかりして、自分は肉を食べてなかったりするのかもしれない。けれど、それでも長年に蓄積された栄養の貯金は多そうです。
そうした食事シーンを見るたびに、わたしもしっかり朝を食べよう! と勇気づけられるのです。
わたしが日々食べているのは、なんとなく韓国気分なだけで味つけは和風のものも多いのですけれど。そのいくつかをご紹介します
元気が出る! 「韓国風タンパク質朝ごはん」のアイデア
韓国風のタンパク質朝ごはん①
なんでものっけたピビンバ風ごはん
わたしが朝ごはんを食べられるようになった原点はこれ。この日は、温泉卵、キムチ、スプラウト、しらす、スナップえんどう、納豆、しそ、かぶの浅漬け、サニーレタス。
食感を楽しいものを重ねていくのがポイントです。
韓国風のタンパク質朝ごはん②
なんちゃって韓定食
キムチと食器以外は実は和風。もはや気分だけの、なんちゃって韓国風な朝ごはんです。
韓国鍋に入っているだけでおいしく感じるのは、もはやプラセボ効果?! 普通の日本のり、晩ごはんの残りもの、大きななめこ入りの味噌汁はいりこだしで味噌チゲ風に。
韓国風のタンパク質朝ごはん③
目玉焼きの明太マヨがけごはん
あるドラマでつくっていた朝ごはん。目玉焼きの上に、明太子とマヨネーズを混ぜたものをかけていたのに目が釘づけに!
つくってみたところ、個人的な好みではもう少ししょうゆ味があってもよいかなと思ったけど、これもおいしかったです。
韓国風のタンパク質朝ごはん④
四角キンパ(韓国風おにぎらず)
韓国のり巻き「キンパ」はもうおなじみですが、おにぎりを「三角キンパ」と呼ぶのにはびっくり。確かに三角形ののり巻きですね。さらには、にぎらないでつくる“おにぎらず形”のものは「四角キンパ」と呼ぶのだとか!
のりに切り目を入れ、たたむように重ねていくと簡単につくれます。
韓国風というだけで食べる気になり、元気がわいてくるのだから、我ながら単純ですね。
おばちゃんたちに「ほら、食べなさい!」と出してもらっているような気持ちで嬉しく食べています。まあ、つくってるのはわたしなんですけれど。
こうして自分を盛り上げていくのも、わたしなりの朝ごはんの楽しみ方なのです。
田内しょうこ(たうち・しょうこ)
「時短料理をサステナブルな知恵に」をモットーに、ゆとりを生みだすための時短の知恵を書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
インスタグラム:@tauchi.shoko
ツイッター:@oyakogohan