(『天然生活』2023年11月号掲載)
健康の秘訣は体内をめぐらせ、気も滞らせないこと
「めぐりをよくする」は、本間先生が折に触れて口にしていること。
絶えず流れている川がきれいであるように、さまざまなものがよどみなく体内をめぐっている状態が病気の発生を防ぎ、健康へとつながるのだといいます。
「東洋医学では“気・血・水”のすべてがスムーズに流れていることが大切といわれます。そのためには、体をよく動かして血流をよくするほか、水分をしっかりとって水もめぐらせる。さらに感情をため込まずにきちんと外に出し、気も滞らせないことが大事です」
栄養も「めぐらせる」ことで本当の健康につながる
食生活においても「めぐらせる」ことがキーワードに。
「私はいつもふたつのことが大事だといっています。ひとつは添加物や化学調味料といった不自然なものをとらないこと、もうひとつは栄養をめぐらせることです。めぐらせるためにはいろいろなものを食べること、そして何より腸内細菌を元気にすることが重要です」
本間家の食卓に上るのは、畑で採れた旬の野菜や自家製の発酵食品。これらが家族の健康を支えています。
栄養をサプリメントなどで手軽に補う人も多い昨今ですが、それだと腸内細菌が育たず、「めぐる」ことにはなりません。
「これは畑の仕組みと一緒です。本来、土の中の微生物は有機物を分解して無機物に変え、それによって作物が育ちます。ところが化学肥料には微生物のエサとなる有機物がないため、微生物が死んでしまう。そこで育った作物は、微生物を介したプロセスを経ていない、つまりめぐっていないため、見かけは立派でも栄養素は昔に比べて激減しているのです」
体も同じ。簡単に栄養素を補給はできても腸内細菌にダメージを与えるものばかりとっていると、健康の要である腸内細菌が激減してしまいます。
たとえ一時的に体が元気になったとしても、数十年後の自分、そして次世代の健康にまで影響してしまうのです。
「自分だけ/いまさえよければいいと考えず、腸内細菌をはじめとするあらゆる生物にとってよい食事や暮らしをする。それがめぐるということであり、私たちの健康にとって一番大切なことなのです」
本間先生一家の“体のめぐり”をよくする5カ条
● 体をよく動かす
● 水分をしっかりとる
● 喜怒哀楽を表に出す
● 不自然なものをとらない
● 腸内細菌を元気にする
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〈撮影/山田耕司 取材・文/嶌 陽子〉
本間真二郎(ほんま・しんじろう)
小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。2009年より栃木県那須烏山市で地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践中。著書に『別冊天然生活 本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』(扶桑社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです