「空間をすき間なく使う」に捉われすぎない

もうひとつ本多さんが大切にしているのは、「空間を埋めることに捉われすぎない」こと。

「むだのない空間づくり」と聞くと、つい「デッドスペースをつくらない」「空間をすき間なく使う」という発想になりがち。

でも、そもそも「デッドスペース」という言葉自体に疑問を感じる、といいます。

「あいていて使っていないスペースってむしろ宝だと思うんです。余白があれば人間がのびのび過ごせるし、すき間があるほうがものも取りやすい。むしろ使わないもので空間を埋めるほうがもったいないですよね。活用することが暮らしやすさにつながるならもちろんいいのですが、使わなくても暮らしやすいのなら、余白を目の敵にしなくてもいいのでは」

本多さんの上手な空間使いのヒント 03
空間の仕切りは「布1枚」でゆるやかに

大事なのは家族全員がストレスなく、のびのび暮らせること。

その基本を忘れずに、本多さんの空間づくりは日々進化しています。

〈撮影／林 絋輝　取材・文／嶌 陽子〉

本多さおり（ほんだ・さおり）
生活重視・ラク優先の整理収納コンサルタント。夫と2人の息子との家族4人暮らし。現在はオンラインでの収納相談室を定期的に開催するほか、暮らしをラクにまわす工夫を雑誌や書籍などを通じて提案。著書に『私をあたらしくする51のこと』（大和書房）、『暮らしをそのままの自分に寄せて』（主婦の友社）など多数。