鎌倉山の朝の光景。絵本のような日々
皆さん、こんにちは。写真と文の七緒です。
ある朝のこと。庭にあるびわの花をヒヨドリがついばみ、3歳の息子は霜が降りた土を踏みしめダンス。白梅の花が小さく咲き、朝日に照らされた空をメジロが横切る…。
まるで絵本「ぐりとぐら」のような日々で、不思議な気持ちになります。だって1年前は、東京の道路沿いのマンションで、あらゆる騒音を耳栓で塞ぎながら暮らしていたから(東京は今も大好きですが)。
静かな鎌倉山で、季節の巡りにふれるたび、力みがほどけていきます。そんなに焦らなくていいし、力量以上に頑張ろうとしなくて大丈夫。
庭に出ると、つい急ぎすぎてしまう秒針を真ん中に戻してくれる感じがあり、心がすっと落ち着いていきます。
楽しく、すこやかになれる
ようやく見つけた心地よい「食の軸」
食はすこやかな心身をつくる土台。でも、ずっと不安でわかりませんでした。どんな食が安心で体にいいの? 添加物や農薬があまり良くないことはなんとなくわかるけれど…。
転機となったのは、植物療法スクール「∴chimugusui」で開催された食の講座を受けたこと。学びを深めたことで、日々の食選びに自分なりの軸が生まれ、迷わなくなり、息子のアトピーなどの不調もどんどん良くなっていきました。
今回は、すぐ取り入れられるちいさな食のルールを、3つシェアしてみます。
今すぐできるちいさな食のルール
①意志を持って、調味料を選ぼう
日々使う調味料は、価格やデザインではなく、原材料と製法で選ぶようにしています。私も最初驚いたのですが、スーパーで何気なく買った商品の原材料を見たら、添加物がどっさり入っていることも…!
ポイントは「添加物が入っていない」「昔ながらの製法」。
たとえば醤油本来の原材料は丸大豆・小麦・食塩とシンプル。江戸時代から続く本醸造かつ天然醸造方式で作られているものが安心です。油は薬品を使わず、昔ながらの圧力をかけて絞った圧搾絞りなど。
大まかなルールを持つことで、星の数ほどある商品から、今の自分にとって心地よいと思えるものを選べるように。何よりいい調味料を使うごはんはおいしい! 料理が楽になりました。
②信頼できる人から買おう
とはいえ、日々の買い物で原材料をいちいち見て選ぶのも大変ですよね。なので「ここなら安心」と信頼しているお店から買うことで楽をしています。
たとえば自然食品店。東京にいた頃は『GAIA』鎌倉は『かなや』など。自然食品を多く取り扱っている生協『ナチュラルコープヨコハマ』も、毎週活用しています。
地域に根づく昔ながらの個人商店もおすすめです。
たとえば米屋や豆腐屋。農薬・化学肥料・添加物など有無と価格バランスを吟味しながら選べますし、お店の方とのあたたかなコミュニケーションも楽しみの一つ。そこから食の知識を得ることも多々あります。
鎌倉には直売所が至る所にあり、生産者さんと話しながら買う楽しみも増えました。
③小さく育ててみよう
果樹や樹木が30本ほどある一軒家に住みはじめて、家庭菜園や季節の手仕事を楽しむようになりました(ちなみに東京にいた頃は植物をすべて枯らしていました)。
春は庭で採れた梅でシロップ作り、夏はミニトマトと紫蘇、冬は大根と人参、しいたけを育てています。秋は金木犀の花をお酒に漬けて、ローズマリー、レモンバーム、ミントなどのハーブはお茶にしたり、チンキにしたり。
3歳の息子とふかふかの土にふれながら、種を蒔き、小さな芽が出たらともに喜ぶ。仕事の合間に水をやり、育み、収穫していただく。
自然の営みにふれるうれしさ、買う以外の「つくる」という選択肢がある安心感を、この家で初めて知りました。「私にもできるんだ」という自己肯定にもつながっています。
種を蒔くことは、未来を慈しむことだといつも感じています。
心ときめく範囲で、無理なく
そんなこんな試行錯誤している内に、漠然とした不安は消え、手元に残ったのは安心感でした。
毎日こだわるのは難しいし、予算とのバランスも大切。だから大らかなルールを持ちつつ、ワクワクする範囲で心を配ってみる。調味料を1つ変えてみる。ベランダだからと諦めず、種を1粒蒔いてみる。
小さな積み重ねで、日々の食事がよりすこやかに楽しくなる気がしています。
参考書籍:『ゆるめる・温める・巡らせる/鈴木七重』
七緒(なお)
写真と文。人や暮らしにまつわる撮影・インタビューを手がける。代表作に「前田敦子の"月月"」。1児の母。鎌倉山の麓に暮らしながら、植物療法士としても学びを深めている。
インスタグラム:@naotadachi
ラジオ(voicy):心地よくきく、セルフケアジャーニー