(『天然生活』2022年11月号掲載)
転びそうな人に手を差し出すというケアの本質に立ち戻る
私たちが取材に訪れた前日まで開催されていた「夏の子どもアトリエキャンプ」に参加した三田さん家族が、群馬県の家へ帰る前、あいさつに来ていました。
三田さんの家には、8歳になる双子の娘がいます。姉の瑚海(こうみ)さんに障がいがあるため、学校でも施設でも、妹の茉空(まそら)さんとふたり一緒に遊んだことがなかったといいます。

診療所、デイサービス、訪問看護、病児保育など、さまざまな機能をもちつつ、利用者、働き手、まちの人が出会いながら、やりたいことに没頭できることを実現していく「ほっちのロッヂ」。共同代表の紅谷浩之さんと藤岡聡子さん。「夏の子どもアトリエキャンプ」に参加した三田瑚海(こうみ)さんと

群馬県からやってきた三田さん一家。真外さん、晴香さんと、8歳の双子姉妹、瑚海さんと茉空さん。「ほっちのロッヂ」は紅谷さんの講演を聞いて以来、訪れたかった場所。「夏の子どもアトリエキャンプ」は、姉妹ふたりとも参加できたので、夫婦ふたりで久しぶりのデートができたとか
「でもね、ここではごく当たり前に、ふたり一緒に遊ばせてくれたんです。びっくりしました」とお母さんの晴香さんは目をうるませながら教えてくれました。
「久しぶりに夫とふたりで、ゆっくりした時間を過ごしたんです。戻って娘ふたりの顔を見ると、充実した表情をしていて、預けたという罪悪感もなくなりました」とやわらかな笑顔を見せてくれました。
遊ぶことも、食べることも、憩うことも前に進む大きなエネルギー。いろいろな人が好きなことのために集うなかで、転びそうな人がいたら手を差し出す。
「それがケアの本質だと思うんです」と紅谷さん。
「けれどもいつの間にか、ケアがひとり歩きしてしまって、介護は介護士がやるもの、病気は白い建物の中で治すものとみんなが思ってしまっているんです」
たとえ「ほっちのロッジ」が近くになくとも、そうした線引きをまずはやめればいい。そして、半径3キロで居心地のいい場所を探して、心地よくしていく。
それがあなたの「ほっちのロッヂ」になるはずと、藤岡さん、紅谷さんは教えてくれました。

ほっちのロッヂ
長野県軽井沢町発地1274-113
https://hotch-l.com/
<撮影/在本彌生 取材・文/岡田カーヤ>
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです