• 大人世代が抱える「こころとからだ」のお悩みや疑問について、頭痛・漢方専門「らいむらクリニック」の來村昌紀先生が、やさしく回答。今回は、水分補給がうまくできないという、マルコさんのお悩みにアドバイスをお送りします。

    :つい水を飲むことを忘れてしまいます。正しい水分補給の知識を教えて!

    画像1: 1日の「水分補給量」の目安はどのくらい? わかりやすい水分不足のサインと“こまめな”水分補給のコツ|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    気づけば口の中がカラカラに……

    正しい水分補給について教えてください。

    「水分をとることが重要」とはいわれていますが、日中忙しく過ごしていると、ついつい水分をとることを忘れて口が乾いてしまいます。

    そもそもどのくらい水分をとればよいのでしょうか?

    もともと水を飲むのが少し苦手なのですが、お茶やジュースなどではダメでしょうか。こまめに水分補給する方法についても知りたいです。

    (マルコさん 40代/会社員)

    :1日に必要な理想的な水分量は「体重×40mL」50kgの人なら、2Lの水分が必要です

    画像2: 1日の「水分補給量」の目安はどのくらい? わかりやすい水分不足のサインと“こまめな”水分補給のコツ|來村先生のこころとからだのお悩み相談室

    水分不足のサインを見逃さず、こまめに補いましょう

    体に必要な大切なものは、水によって運ばれている

    今回のお悩み相談はマルコさんからの水分補給の知識と、こまめに水分補給する方法についての相談です。

    私たちが生きていく上で欠かせない水は体のあらゆる場所に存在し、健康を支えています。

    体に必要な理想的な水分量なのですが、これは体重や、年齢、季節や環境などによっても異なるのですが、平均的には、体重×40mLと言われています。

    たとえば体重50kgの人であれば50×40mLで2000mL、つまり2Lの水分が必要となります。

    ただし、心臓や腎臓の病気などの持病がある人では水分制限が必要な場合もあるため、主治医の先生の確認が必要な場合もあるので、注意が必要です。

    私たちが生きていくのに必要な酸素や栄養、ホルモンなどは血液の中の血漿という液体で運ばれるているのですが、この約90%が水分でできており、体に必要な大切なものは水によって運ばれているということになります。

    また逆に体に不必要な老廃物も水によって運ばれ、尿や便、汗として運び出されます。また水は温まりにくく冷めにくい性質があり、これを利用して体温を一定に保っています。

    夏の暑い時に水分を多く取るのはかいた汗の水分を補う以外に体温が上がらないよう調節し、熱中症にならないようにしているということです。

    また消化機能を高める唾液や胃液なども約90%が水でできており、栄養を消化吸収するためにも水が必要です。

    こまめにとる水分は「コップ1杯」が目安

    これら重要な水分なのですが、水分不足のサインを見逃さず、こまめに少量ずつとることが大切です。

    一気に多量の水分をとると胃腸に負担がかかります。喉が渇いたと感じた時はすでに脱水が始まっているため、喉の渇きを感じる前に水分を取りましょう。

    具体的には「起床時」「食事中」「入浴前」「就寝前」に1時間半から2時間おきに水を飲むことをおすすめします。

    外出時にはペットボトルや水筒などで飲み物を持ち歩き、こまめに水分を補給してください。1回あたりコップ1杯(約200mL)を目安にするとよいと思います。

    僕も診察中にはお茶やミネラルウォーターのペットボトルを机の傍らに置いて水分補給をしながら診察をしています。

    水分不足のサインはトイレでわかる?

    トイレの回数は個人差があるのですが、適切に水分補給ができていれば日中は2〜3時間に1回くらいの間隔で尿意を催します。

    3時間以上尿意を感じない場合には、水分不足の可能性があります。正常な尿の色は薄い黄色ですが、脱水状態だと濃い黄色になります。

    これは水分不足により尿の量が減少し、尿中の黄色の色素であるビリルビンの濃度が高くなるためです。これらを目安にしながら季節や環境に応じて水分のとる量を調節されるのがよいと思います。

    お酒で水分補給はNG。食べものから水分をとることも可能

    何を飲めばよいのかということですが、ミネラルウォーターは水以外にもカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれているためおすすめです。

    お茶やコーヒーでもよいのですが、これらには利尿作用があるものもあり、水と組み合わせて飲むとよいと思います。

    お酒は利尿作用がある上に、アルコールを代謝する際に水が必要となるため、お酒は水分補給にはなりません。スポーツドリンクは汗をかいた時や運動した後はエネルギーも補給できるため、良いのですが、糖分が多いため、摂りすぎには注意が必要です。ジュースも糖分の摂りすぎにならないように注意が必要です。

    また飲み物だけからではなくて、食事の際のお味噌汁や野菜や果物にも水分は含まれていますので、昔からいわれる一汁三菜のバランスの取れた食事を心がけることも大切です。

    ※お味噌汁には塩分が含まれているので、摂りすぎには注意が必要です

    気づかないうちに体の水分が蒸発することも

    不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」とは、汗や尿とは別に、日常生活において自然に失われる水分、すなわち呼吸の際に呼気に含まれる水分と、皮膚や気道の粘膜から蒸発する水分などのことをいいます。

    暖房の入った今の季節では空気が乾燥するため、加湿器などでお部屋の湿度を保ち、この不感蒸泄を減らすことも大切です。

    まとめると、水分補給は、体調や季節、環境に応じて、ミネラルウォーターを中心にお茶やスポーツドリンクをうまく取り入れながら、こまめにするのがおすすめということになります。

    水分補給におすすめの漢方

    漢方では五苓散(ごれいさん)という漢方薬があり、脱水の時には水分を保持し、水が余分な時は排出するというとても便利な漢方薬です。二日酔いや天気の影響で悪化する頭痛やめまい、胃腸炎などの吐き下しに使われます。

    今回の記事がマルコさんはじめ、適切な水分摂取にお悩みの皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。

    みなさんのお悩みを募集します!

    来村先生に相談したい健康や心のお悩みを大募集。頭痛や漢方、更年期、冷え、疲れ……など、気になることをお気軽にお寄せください。

    ▼下記アンケートフォームにて、相談したい内容をご入力ください。

    ※ご相談内容は編集部で割愛・要約させていただく場合がございます。
    ※ご質問が採用される場合、編集部から個別の連絡はいたしません。
    ※すべてのご質問にお答えできるわけではございません。予めご了承ください。


    〈イラスト/コグレチエコ〉

    画像: 水分補給におすすめの漢方

    來村昌紀(らいむら・まさき)

    頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
    YouTube:らいむらクリニック チャンネル
    インスタグラム:@raimura.clinic



    This article is a sponsored article by
    ''.