(『天然生活』2024年3月号掲載)
気持ち的にも楽になる「余白」のスペースを随所に
すっきり整頓されたキッチン収納を順番に見せていただくと、「なるほど」と思える理由がありました。
それは「ものの住所」をきちんと決めているだけでなく、随所に「雑多なもの入れ」「余白のスペース」が設けられていること。
「職業柄、一度にドサッとたくさんの食材が届く日がありますし、ありがたいことに頂きものの機会も多い。道具類などでも、どうしても収まりが悪いものって出てきてしまいますよね。そういうものをとりあえず入れておく場所をいくつか準備しておくと、気持ち的にすごく楽なんです」

「無印良品」のワイヤーかごを雑多なもの入れに
そんな余白スペースのほとんどが、自然素材のかごを引き出し的に活用したもの。
中身を入れているかどうかは外側からわからないし、持ち手があるので取り出しやすく、そのまま持って別の場所に移動するのも楽チン。
インテリアアイテムとしても空間にすっとなじみます。

シンク上のオープン棚には自然素材のかごを置き、見た目もかわいい旬の野菜や果物を置くスペースに
それでもやはり、暮らしが続けばものは増えていきがち。
過去にDIYを繰り返してきた柚木さん、今後はパントリーの左側の壁面や、コンロ下のスペースにも、棚や引き出しをつくろうと考えているそう。
あわてず、急がず、暮らしながら試行錯誤する。
そんな「心の余白」も、キッチンの整えにひと役買っているようです。

「柳宗理」のステンレスボウルや「イワキ」のガラスボウルなど、スタッキングできる道具をそろえることも省スペースにつながる
〈撮影/星 亘 取材・文/田中のり子〉
柚木さとみ(ゆぎ・さとみ)
料理家・フードコーディネーター。古民家をセルフリノベーションしたアトリエで料理教室「さときっちん」主宰。著書に『女子キャンプごはん』(グラフィック社)など。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです