• むだを手放し“少し先”を見て暮らす。料理家・山戸ユカさんの自然にやさしい選択。今回は、山梨県北社市で楽しむ、山戸さんのエコなもの選びのお話を紹介します。
    (別冊天然生活『エコでやさしい暮らし2』より)

    “ベスト”と考えず、“ベター”な選択を目指す

    山戸ユカさんがふだんからずっと心がけているのは、新たにものを増やさないこと。

    「あったら便利かもという理由で何かを手に入れることは、昔からありませんでしたね。工夫をしながら少ないものを長く使いまわすことを、思えば10代のころからずっと意識してきました。

    その結果、余計なお金を使うこともなくなりますし、実はこれって環境への負荷を確実に減らせる方法なのかなって。私の考え方のクセ、ですね」

    家にあるそれぞれのものには、ここにあるべき理由があります。それがはっきりしているのなら、それこそがむだのない暮らし。さらにそれは、環境問題という大きな問いの解決に、おのずと参加することにもなります。

    「いつでもベストな選択を、と考えると、息苦しくなるかもしれません。だから肩の力を抜いて、少し立ち止まって考えて、ベターな選択を目指す。そんな選択をたくさんの人が重ねていけば、難しい問題だって、必ずよい方へ向かうはず。小さな選択の積み重ねは、大きな力になると信じています」

    画像: “ベスト”と考えず、“ベター”な選択を目指す

    山戸さんのエコな「もの選び」4つの工夫

    山戸さんのエコなもの選び01
    容器の回収は、つくる側の責任

    画像: 「アイシティ」では“ecoプロジェクト”と銘打ち、店頭で空容器を回収。リサイクルの収益は視力を取り戻す運動に寄付される

    「アイシティ」では“ecoプロジェクト”と銘打ち、店頭で空容器を回収。リサイクルの収益は視力を取り戻す運動に寄付される

    コンタクトレンズを使用している山戸さん。かつては、“ごみ”になってしまう空容器の行く末に頭を悩ませていました。

    「コンタクトレンズの『アイシティ』が容器を回収していると知ったので、いまではそちらに持って行っています」

    この試みが素晴らしいのは、ほかのお店で買ったものでも回収ボックスに入れられること。

    「ごみにする前に調べてみるのも必要だな、と思いました。“つくったものに責任をもつ”、そんな姿勢の企業は応援したいです」

    山戸さんのエコなもの選び02
    鉄やホウロウなど、一生使える調理道具を

    画像: 「ターク」のフライパンは店を開いたときに買ったもので、10年ほど愛用。どのフライパンも使うほどに使い勝手がよくなる

    「ターク」のフライパンは店を開いたときに買ったもので、10年ほど愛用。どのフライパンも使うほどに使い勝手がよくなる

    コーティングが施された鍋は、はじめは使い心地がよくても長く使うほどコーティングがはがれ、どんどんこびりつくように。結局、何度も買い替えている人も多いのでは?

    「本来は、長く手元に置くほどなじんで愛着がわくはずなのに、残念ですよね」

    山戸家で使われているのは、使うほどに油のなじむ鉄のフライパンや、丈夫なホウロウの鍋。

    「夫がひとり暮らしを始めたときのフライパンは、いまも現役。とても頑丈で、20年以上は使えています」

    山戸さんのエコなもの選び03
    リサイクルより、リユースを考える

    画像: 「生活クラブ」ではリユースマーク付きのびんは回収され、再利用。「リユースはもちろん、リサイクルでつくられた商品を買うのも大切な選択」

    「生活クラブ」ではリユースマーク付きのびんは回収され、再利用。「リユースはもちろん、リサイクルでつくられた商品を買うのも大切な選択」

    私たちは“リサイクル”の箱に投げ込んだとたん、責任を果たしたと思い込んでしまいがち。

    「そのまま捨ててしまうよりはずっといいけれど、リサイクルに使われるエネルギーのことを考えれば、よりシンプルでエネルギーの使用量が少ない“リユース”の仕組みを活用するのも大切だと思います」

    そこで山戸さんが見つけたのが、リユースに積極的に取り組む「生活クラブ」。調味料はできるだけこちらのものを使い、資源とエネルギーの節約に努めています。

    山戸さんのエコなもの選び04
    繰り返し使えないものこそ、何を選ぶか

    画像: 手放す際のリサイクルだけでなく、それを使った商品を選び、買い支えるのも大切なこと。その行動が、企業を動かす力になる

    手放す際のリサイクルだけでなく、それを使った商品を選び、買い支えるのも大切なこと。その行動が、企業を動かす力になる

    トイレットペーパーなど、一度使ったらごみにせざるを得ないものは、できるだけリサイクル素材でつくられたものを。

    「意外に、再生紙100%のものって見つからないんです。私が使っているのは、『生活クラブ』の無漂白ロールペーパーです」

    こちらはもちろん、100%再生紙。紙力増強剤や漂白剤などの薬剤を一切使っていないことも、環境への配慮です。“ロールペーパー”の名は、キッチンやリビングなど、家の中のあらゆる場所で使ってほしいという思いから。

    〈撮影/小禄慎一郎 取材・文/福山雅美〉

    本記事は別冊天然生活『エコでやさしい暮らし2』からの抜粋です

    別冊天然生活『エコでやさしい暮らし2』

    別冊天然生活『エコでやさしい暮らし2』(扶桑社)

    『エコでやさしい暮らし2』(扶桑社)

    amazon.co.jp

    22人が暮らしの中で見つけたエコな工夫
    松場登美さん、ナンシー八須さん、マキさん、服部麻子さん、山戸ユカさん、たいら由以子さんなど、22人の方々が暮らしの中で見つけたエコな工夫。「自分にとって気持ちがいい」を選ぶことが、エコにつながっているようです。サステナブルな道具と雑貨、水を汚さない新しい習慣についても伺いました。ワタナベマキさん「野菜を丸ごと使い切るレシピ」、島本美由紀さん「台所から減らす『食品ロス』24のヒント」、和田由貴さん「光熱費の見直し方」など、ハウツーページも満載。自分のペースでできることから「自分と地球にやさしい暮らし」を始めてみませんか?



    ※ 記事中の情報は『天然生活』2023年6月号掲載時のものです

    山戸ユカ(やまと・ゆか)
    料理家。自然を受する両親のもとで生まれ育つ。東京で料理家として活動したのち、山梨県北杜市へ移住。八ヶ岳の山麓で、レストラン「DILL eat,life.」を夫の浩介さんとともに営む。添加物を使わないトレイルフードブランド「The Small Twist Trailfoods」も好評。インスタグラムでも環境について発信。
    インスタグラム:@yukayamato
    https://dilleatlife.com/



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