• インテリアデザイナーのヘザー・ブラッキンさんは、イギリス人と父と、作家・森瑤子さんのもとにうまれ、幼少時代から時代を経たものの美しさを愛する文化に触れながら暮らしてきました。SNSから日々投稿されるインテリアの写真には、時代も国も異なる家具や道具が調和した気持ちのいい空間が広がり、多くのファンを魅了しています。今回は、ヘザーさんの独自の感性で表現された心地いいミックススタイルのコツを探るべく、東京の自宅におじゃました。
    (『天然生活』2020年11月号掲載)

    古いものと新しいものを、心地よくミックス

    手を動かして、暮らしをつくる。過程が楽しい家づくり

    小さなころから絵を描くことが好きで、イギリスの大学ではインテリアデザインを専攻。卒業後はベルギーのインテリアデザイン事務所に就職しました。

    「小さな会社だったので、図面を引くことから、デザイン、素材選び、レイアウトまですべて任せてもらえたのが楽しかったですね。いきなり現場を任されてダメ出しをされて泣いたこともありました。でも、すべてが経験につながりましたね。

    古いヨーロッパの家は、基本的に壊しちゃいけないんです。壁だけを残して、中をリノベーションする。何もないところから始めるよりも、いまある空間で何ができるかを考える。その過程が楽しい。だからある程度の制限があるなかで想像力を広げていく方が、ワクワクするし、好きなんです」

    家との出合いは、物語のはじまり

    インテリアデザインを学ぶため、イギリスの実家から大学の寮へ。卒業後はベルギーで当時のパートナーと一緒にアパートメントを借り、ペンキを塗ったり、棚をつくったりと、本格的にDIYを始めたのもこのころでした。

    「お金がないから、リサイクルショップでガスコンロを買ってきたり、イケアで棚を買ってきて置いたり。楽しかったなあ」

    その後、古い小さな家を買って、すべて自分たちでリフォーム。1階は店舗に、2階は賃貸に、3階は自宅にしたといいますから、その行動力には驚くばかりです。

    壁の色ひとつで、気分が変わる

    28歳で夫と出会い31歳で結婚。帰国し賃貸住まいを経て、この家にめぐり合いました。

    新築で購入してから20年あまり。常にどこかをリフォームし続けています。

    「日本では、『新しいもの』に価値を見いだす場合が多いでしょ? 新築の家をリフォームすることもあまりないですよね。でも、ヨーロッパでは、住めば手を動かすのが当たり前。そして、自分でできることは自分でやる。私も、この家で何度も壁の色を塗り替えてきました。

    ダイニングとキッチンを仕切る壁は、以前は茶色がかったやさしいグレーでした。でも、もう少しパキッとした方がいいと昨年塗り替えたばかり。『同じじゃない?』っていう人もいるけれど、私にはその微妙な色の差で、部屋で過ごす気分ががらりと変わるんです。

    家には、『完成する』っていうことはないんですよね。

    これからもきっと手を加え続けると思います」

    画像: ベッドメイキングをするヘザーさん。白のベッドリネンに「無印良品」のグレーのワッフルカバーを。上品な色使いが美しい。ヘッドボードは、木材とリネン生地を使ってDIYで。昼間ここで仕事をすることも

    ベッドメイキングをするヘザーさん。白のベッドリネンに「無印良品」のグレーのワッフルカバーを。上品な色使いが美しい。ヘッドボードは、木材とリネン生地を使ってDIYで。昼間ここで仕事をすることも

    手づくりの布使いで、空間にやさしい表情を演出

    リネンのお手製カバーと天然木でつくるダイニング

    画像1: リネンのお手製カバーと天然木でつくるダイニング

    どっしりとした無垢の木のダイニングテーブルはアジアの家具ショップで買ったもの。椅子カバーは厚手のコットンでヘザーさんが手づくりしたもの

    画像2: リネンのお手製カバーと天然木でつくるダイニング

    真っ白な椅子カバーは、キリッとした清潔感とエレガントさを感じさせ、視覚効果が抜群。汚れは洗うことができ、家具を長く使い続ける工夫でもある

    時を経て、味わいを増すものが好き

    引き継いだ古いキャビネットをいまに生かして 

    画像1: 引き継いだ古いキャビネットをいまに生かして
    画像2: 引き継いだ古いキャビネットをいまに生かして

    食器棚は、ベルギー時代の家の屋根裏部屋にあったものをずっと使っている。食器棚の横には、人気作家でヘザーさんが26歳のときに亡くなったお母さまの森瑤子さんの写真を飾って

    画像3: 引き継いだ古いキャビネットをいまに生かして

    寝室に置かれたベッドリネンをしまっているキャビネット。知人から譲り受けたそう

    忘れてはいけない最初の一歩
    心地いいインテリアの「秘訣」は、収納を整えること

    DIYでつくったもうひとつの食器棚

    日常使いの器は、こちらに収納。キッチンカウンターの上に棚を造作し、よく使う器の定位置に

    画像: DIYでつくったもうひとつの食器棚

    クローゼットは、もともとあった扉を外し、布でアレンジ

    クローゼットは、もとは、扉で仕切られていたそう。いまは、あえて扉をはずし、お手製リネンのカーテンで目隠し

    画像1: クローゼットは、もともとあった扉を外し、布でアレンジ

    〈撮影/柳原久子 取材・文/一田憲子〉

    画像2: クローゼットは、もともとあった扉を外し、布でアレンジ

    ヘザー・ブラッキン
    東京生まれ。父はイギリス・マンチェスター出身。母は作家の森瑤子。東京のインターナショナルスクールを卒業後、イギリス・ロンドンでインテリアを勉強し、卒業後、ベルギーのインテリアデザイン事務所に就職。2000年に日本に戻り、住宅のインテリアコーディネートや収納計画、暮らしに関わるアドバイスや執筆などの仕事に携わる。海外デザイナーにおける日本でのプロジェクトのサポートにも関わる。著書に『ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり』(文藝春秋)、『英国流 スッキリ!持たない暮らし』(大和出版)、『イギリス流 素敵なお部屋づくり』(大和出版)など。
    https://www.heather-homelifestyle.com/
    インスタグラム:@hls_homelifestyle

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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