• 台所は暮らしの中心です。そして、毎日の幸せはここから生まれます。家族の健康を支えたり、人と時間を共有したり、自分の楽しみを見つけたり。笑顔があふれる台所に立つ、矢野直子さんのストーリーを紹介します。
    (『天然生活』2020年9月号掲載)

    会話を楽しみながらゆっくりと料理する場所

    画像: 白でまとめられた台所。ベランダへと通じるドアがあり、公園の緑が満喫できる。「夏の夕方、なかなか日が暮れない明るい時間帯に食事をつくるのが好きです」

    白でまとめられた台所。ベランダへと通じるドアがあり、公園の緑が満喫できる。「夏の夕方、なかなか日が暮れない明るい時間帯に食事をつくるのが好きです」

    窓いっぱいに広がる木々の緑と広い空。そんな気持ちのよい風景を引き立てる、床も壁も真っ白な空間。矢野直子さんが暮らすのは、広大な公園に面したマンションの一室です。

    「13年前に引っ越した際にリノベーションをしたのですが、台所は、ほぼそのまま。床をフローリングから白のタイルに替えたのと、器などを収納するために、背面の戸棚を追加したくらいです」

    画像: 台所と壁で隔てられたダイニングスペース。豊かな緑の借景もごちそうのひとつ。愛犬のベージュと一緒に

    台所と壁で隔てられたダイニングスペース。豊かな緑の借景もごちそうのひとつ。愛犬のベージュと一緒に

    自身も長年勤めていた「無印良品」の収納グッズを活用したり、引き出しの深さに合わせてビニール袋入れを手づくりしたり。元々ある台所の設備や収納に、自分らしく手を加えています。

    必要なものをさっと手に取り、きびきびと動きながら、あっという間に数品の料理を完成させました。

    「この台所はリビングダイニングと壁で仕切られているので、目線を気にせず、使い勝手を優先できるんです。自分の好きなように、あちこちに道具を吊るしたり置いたりしています」

    画像: ダイニングの壁の一部には細い磨りガラスが。壁の向こう側の台所の気配が感じられるようにと入れたもの

    ダイニングの壁の一部には細い磨りガラスが。壁の向こう側の台所の気配が感じられるようにと入れたもの

    仕切りのあまりない開放的な住まいの中にある、半分個室のような台所。矢野さんにとっては、ときどきひとりの静かな時間を過ごせる貴重な空間でもあります。

    「食事に来てくれるお客さんたちにとっても、ここは少し気持ちを切り替えられる場所みたいです。みんながダイニングでにぎやかに話している途中、私がいる台所にひとりずつ入れ替わり立ち替わりやってきて、一緒に料理しながら一対一でじっくり話すということもよくあります」



    <撮影/尾原深水 取材・文/嶌 陽子>

    矢野直子(やの・なおこ)
    「無印良品」の仕事に携わり、生活雑貨や「Found MUJI」などの企画デザインを手がける。2013年、「良品計画」生活雑貨・企画デザイン担当部長に。退職後は、くらしに関する新たな仕事に。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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