• 生活評論家の沖 幸子さんは、70代になり、京都にも拠点をもちました。京都に暮らして、歩いてわかった、京都の楽しみを綴るエッセイ。今回は、京都で食べた肉ごはんのお話。

    京都の「おいしいもん」を探して

    3月〇日

    さて、今日のランチは何を食べるかな。

    京都では、できるだけ京都の“おいしいもん”を探して食べ歩く。

    もちろん、お金を出したらいいというわけではなく、コスパはいちばん大切なポイント。

    元気を出したいときは、肉を、心静かに暮らしたいときは、京のおばんざいを色々探し回る。

    最近見つけた東山界隈の白川沿いのこじんまりとしたおばんざいやさん。

    肉屋さんが経営している店で、いつも食べるのは、ランチの“肉ごはん”。

    画像: 京都の「おいしいもん」を探して

    いわゆる牛丼のことを“肉ごはん”や”肉丼”と呼ぶらしい。

    さすが肉のプロだけあって、ここの肉はやわらかくて一緒に甘く煮込んだ玉ねぎが白いごはんの上にのっている。汁も京都らしい上品な薄味。

    京都名物のお麩と刻んだ九条ねぎが入った澄まし汁と小さなごま豆腐もついている。

    おかみさんと「愛宕山」の話で盛り上がり

    カウンターにいたおかみさんに、ふと、先日、愛宕山に登った話をしたところ、「まあ、愛宕さんに登りはったん!」と急に親しみの笑みを浮かべながら声が明るいソプラノになる。

    聞くと、全国に900社ある愛宕神社の総本山が京都の愛宕さん

    1400年前からある、火除け厄除けの神社で、京都人なら必ず一生に一回は登るという。

    京女のおかみさん、こどもの頃の遠足で、登りやすいゆずの里の水尾から登ったという。

    懐かしそうに話しながら、「これ、手作りの赤かぶ、食べておくれやす」とおいしい漬物をサービスに出してくれるではないの。

    画像: おかみさんと「愛宕山」の話で盛り上がり

    よそもんの私の愛宕山登山の思い出は、難行苦行だったけれど、思いがけず“おいしいもん”食べられるとは。

    これも愛宕さんの御利益のおかげかな、と、心で手を合わせる。

    <水彩画/沖 幸子>



    沖 幸子(おき・さちこ)
    兵庫県生まれ。生活経済評論家。家事サポートサービス「フラオ グルッペ」代表。大学客員教授(起業論)や経済産業省、厚生労働省などの政府審議会委員も務める。神戸大学卒業後、ANA、洗剤メーカーを経て、ドイツ、イギリス、オランダで生活マーケティングを学び、グローバルな視点を持つ暮らしのデザイナー・女性起業家として、メディアで活躍。「掃除界のカリスマ」として知られ、家事や暮らしが楽しくなる数々のエッセイや評論を執筆している。著書は、『ドイツ流 掃除の賢人』(光文社)、『50過ぎたら、ものは引き算、心は足し算』『70過ぎたら あるがまま、上手に暮らす』(ともに祥伝社)など多数。
    http://www.ask-sachiko.com/

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