(『天然生活』2024年5月号掲載)
あのときの自分と全年代へのメッセージ
30代
ワインに合うパテを主に’73年4月1日に開店。6月になるとセミが鳴き始めワインどころではなく、8月は1カ月休業に。8月休みの習慣は、50年後のいまも続いている。
40代
多くの依頼を受け、ケータリングの仕事や地方の調査プロジェクトも担当。このとき、建築現場の工程表や段取り図が大いに役立ち、それはいまでも変わらない。
50代
「戦中世代の私たちが平和を、戦後の復興と日本の国際化の恩恵を一番受けた世代といえます。そこに育った個性豊かな世代同士の交流は実に貴重な体験でした」
60代
おびただしい数の蔵書やスクラップを生かした執筆など、「高い集中力を発揮できるのは60代までかも。70代からは過去の仕事の集大成に向かうように感じます」
70代
依頼された展覧会の準備に追われたのを機に、パテ屋の仕事を若いスタッフに引き継いだ。
「必要な部分を修正しつつ、次世代にバトンを手渡す時期だと思います」

レバーパテに次ぐ人気商品のパテ・ド・カンパーニュ。パテ屋ではどの商品も調味料は基本的に塩だけ
<撮影/林 紘輝 取材・文/嶌 陽子>
林のり子(はやし・のりこ)
日本大学建築学科卒業後、オランダ、パリの建築事務所に2年間勤務。帰国後結婚し、建築アトリエに勤務。‘73年にパテ屋開業。同時に世界の食の仕組みを探る「〈食〉研究工房」を設立。『宮城のブナ帯食ごよみ』(宮城県農政部)など作成。著書に『パテ屋の店先から かつおは皮がおいしい』(アノニマ・スタジオ)。インスタグラム@nori_pateya
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです