(別冊天然生活『エコでやさしい暮らし』より)
坂井より子さんに教わる「フードロスを出さない工夫」
「エコでやさしい暮らし」を実践している坂井より子さんに、フードロスを出さない工夫を教えていただきました。
食べ物を使い切る。当たり前のようで、なかなか難しいことですが、「食材をひと目でわかるように見える化することで、うっかり使い残すことがなくなります」。
だしがらや余ったごはんも、ちょっとしたひと手間で別の食べ方を楽しめます。
食べ物を使い切る、4つのアイデア
1 大型の冷蔵庫は棚や仕切りで見える化を
リフォームを機に買い替えたアメリカ製の大型冷蔵庫。左右観音開きの扉を開けると、右が冷蔵室、野菜室、左は冷凍室と一気に全体が見わたせます。
「無印良品」で購入した積み重ね用の棚を置いて、透明の保存容器で整理。
「自分だけでなく、家族のだれが見ても、冷蔵庫に何が入っているかがひと目でわかります」

透明な保存容器にすることで食べ忘れを防止

野菜室には、高さ半分に切ったペットボトルを使い、早めに食べたい食材をまとめておく
2 使っただしがらはふりかけに
自家製の麺つゆをつくるときに使う花がつお。
だしがらは捨てずにざるにあけ、1日干してから電子レンジで加熱してパリパリに乾燥させ、即席のおかかふりかけに。
めんつゆの味がしみているので、あとは炒りごまをパラパラとふりかけて、でき上がりです。
だし汁のだしがらを使うときは、しょうゆで味をととのえてから干します。

ごまをひねって入れると、香りと風味がアップ。

できたふりかけは、マヨネーズ漏斗でびんに移し替えて保存している

マヨネーズ容器でつくった漏斗。粉ものや液体を移し替えるときに役立つ
3 残りごはんはおにぎりで冷凍
ごはんが残ったら、おにぎりにして冷凍するのが、坂井さん流。
塩はふらずに冷凍して、食べるときはそのまま魚焼きグリルでこげ目がつくまで焼いて焼きおにぎりに。最後に小皿でしょうゆをまぶせば、グリルを洗うのも楽。
「帰宅した孫たちのおやつや、夫と私の軽い昼食にも。さっとそのまま焼けばすぐに食べられるのが便利ですね」

おにぎりは肉や魚に使う業務用の「エースシート」で包んで冷凍。冷凍してもシートが簡単にはがせて便利

冷凍のままグリルで焼くだけ
4 野菜やきのこは干して保存
旬の野菜やきのこで自家製の干し野菜をつくっておくと、味噌汁の具にしたり、漬物にアレンジしたりできます。
細かく切った野菜やきのこは、ざるで、天気のよい日に1日、外で天日干し。翌日にリビングの窓辺で半日干せばでき上がりです。
干した野菜は、最後に全部混ぜ合わせてまとめて袋に入れて保存します。

大根、にんじん、ごぼう、きのこなどを天日干し。栄養価もうま味もアップする
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〈撮影/林 紘輝 取材・文/工藤千秋〉
坂井より子(さかい・よりこ)
神奈川・葉山での長年の専業主婦歴を生かし、自然体で楽しむ家庭料理や暮らしの知恵を若い世代に伝える。近著に『飾らない。76歳、坂井より子の今をたのしむ生き方』(家の光協会)がある。
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活