(別冊天然生活『エコでやさしい暮らし』より)
‟本当に好きなもの”だけを選んでいたら、自然と長いつきあいに
「エコでやさしい暮らし」を実践している坂井より子さんに、ものを長く使いつづける方法を教えていただきました。
坂井さんのお宅には代々受け継いできたもの、手入れをしながら長く愛用しているものが、数多くあります。
「服でも道具でも家具でも、自分が本当に好きなものだけを選んでいたら、自然とどれも長いつきあいのものばかりに。手入れをして使うのも、またひとつの楽しみです」
坂井より子さんの愛用品
1 代々受け継いでいる家具
坂井さん宅の玄関で、ひと際目をひくのが、年代ものの桐の和簞笥。
坂井さんが祖母から引き継いだ和簞笥の上2段を置き、外出時に使うストールやハンカチ、ティッシュなどをまとめて収納しています。
「あえて磨かずに経年で黒ずんだ色を楽しんでいます」
ちなみに一番下の引き出しは、2階で暮らすお子さんのご家族が使っているのだそうです。

祖母からは写真の和簞笥のほかに、小さなちゃぶ台も受け継いで愛用している

日本の古い家具にひかれるという坂井さん
2 いいものはシンプルを選ぶ
「シンプルでどんな洋服にも合わせられるのが便利」と、かごバッグを愛用する坂井さん。
外出時はもちろん、リビングやキッチンの小物収納にも、かごを使いこなしています。
「この山ぶどうのかごバッグは長年使っているうちに革のようにやわらかくなりました。
お手入れは、ときどき手でさするくらい。色や風合いの変化も楽しいですね」

ふだんから手でさすっていると、オイルを塗ったようなつやが。持ち手を修理に出しながら、長く使う喜びを
3 台所道具は直しながら
坂井さんの台所道具には、何十年も愛用しているものが多くあります。
なかでもお気に入りは、30年選手のおろしがね。歯を立て直してもらい、いまでも現役で使っています。
「このおろしがねでおろした大根は、ほかのものでおろしたのとは味も食感もまったく違って、本当においしいんです。これだけは、絶対に手放せませんね」

お気に入りのおろしがねと、持ち手を交換して使っている無水鍋。どちらも長年の台所の友
4 いろいろ使える、木のトレイ
いろいろな用途に使うこともあり、たくさん持っている木のトレイ。
サイズや形がバラバラなので、ブックスタンドを利用して立てて収納。こうすることで出し入れも簡単になります。
お皿を運ぶのはもちろん、飲み物やお菓子をそのままのせて使ったりすることも。
「コーヒーを小さなトレイにのせて出すだけで、おもてなし感がアップします」

小ぶりの木のトレイは、鎌倉彫りの模様を入れる前段階のものを求めて手に入れたもの

コーヒーを小さなトレイにのせて出すだけで、おもてなし感がアップ
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〈撮影/林 紘輝 取材・文/工藤千秋〉
坂井より子(さかい・よりこ)
神奈川・葉山での長年の専業主婦歴を生かし、自然体で楽しむ家庭料理や暮らしの知恵を若い世代に伝える。近著に『飾らない。76歳、坂井より子の今をたのしむ生き方』(家の光協会)がある。
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活