(別冊天然生活『エコでやさしい暮らし』より)
時間があれば手を動かす
「エコでやさしい暮らし」を実践している坂井より子さんに、手を動かす工夫を教えていただきました。
ぼんやりとしていることがない、という坂井さんの一日。
リビングに座っているときも、洗濯物をたたんだり、裁縫や編み物をしたり、いつも手を動かしているそう。
日常の小さな手仕事時間から生まれるものは、そのまま家族への愛情と心豊かな暮らしにつながっています。
家事を助ける小さな手仕事、3つのアイデア
1 繕ってリメイクを
「子どもたちや孫たちが小さいときには、いろいろ手づくりを楽しみました。いまでも、自分の服はよくつくりますね」
初めての妊娠のとき、赤ちゃんのことを想いながらかわいい刺しゅうを施した布団カバーは、時を経て、刺しゅう部分だけを切り取って初孫用の布団カバーにリメイクを。
大切な思い出をつなぐ、かけがえのない宝物になっています。

思い出の布団カバーを使っていた孫もいまは高校生。いつか、ひ孫たちが使ってくれるのかも

ふとした時間にも繕い物に手を伸ばして、さっと手を動かす。「ただ座ってテレビを見るってことができないの」
2 掃除はほうきで
朝と寝る前に、キッチンからリビングをほうきで掃く「10分掃除」が、坂井さんの長年の習慣。
毎日、続けることで、大がかりな掃除をしなくても、いつでもきれいな空間を保ちます。
ほうきを使うのは、軽くて使いやすく、さっと手に取りやすいから。
冷蔵庫脇のスペースに収納しておけば、見た目も気になりません。

朝食後のほうき掃除の習慣は、すっきりした気分で一日を始めるスイッチにも。写真で坂井さんが着ているシンプルなスカートは自作の品
3 自分を助けるひと手間
お菓子の缶や箱、ビールの空き箱などを収納用に上手に使いまわすのが得意な坂井さん。
かわいい缶はそのまま裁縫箱などにして使いますが、パッケージの派手なデザインが気になる箱は、包装紙などを貼り付けて見た目を整えます。
「たったそれだけの手間ですが、そういうことが家事を気持ちよくするコツな気がします」

気に入った包装紙を貼り付けた空き箱を利用して、紙袋や切った牛乳パックを収納

使い終わった牛乳パックは、肉や魚を切るときにまな板の上に敷くほか、揚げものの油切りにも活用
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▼坂井より子さん「エコでやさしい暮らし」記事一覧
〈撮影/林 紘輝 取材・文/工藤千秋〉
坂井より子(さかい・よりこ)
神奈川・葉山での長年の専業主婦歴を生かし、自然体で楽しむ家庭料理や暮らしの知恵を若い世代に伝える。近著に『飾らない。76歳、坂井より子の今をたのしむ生き方』(家の光協会)がある。
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坂井より子さん、早川ユミさん、服部雄一郎さん・麻子さん、青木美詠子さん、本多さおりさんなど、15人の方々に、自然に寄り添う暮らしの様子を見せていただきました。
共通しているのは、楽しみながら工夫していること。それが、結果的にエコな暮らしにつながっていくような気がします。
自分にも地球もやさしく、心地いい暮らしのヒントを、この本の中に見つけてみてください。
【CONTENTS】
第1章 循環する暮らし/第2章 フードロスを減らす/第3章 お金の使い方を見直す/第4章 掃除・洗濯。道具のお手入れ/ごみを、ごみにしない暮らし方/始めよう、コンポスト生活/プラスチックを減らす生活