(『天然生活』2023年6月号掲載)
初夏にとりたい、おすすめの食材
梅雨から初夏のトラブル解消に、おすすめの食材を教わりました。
季節の食材には、その時季特有の悩みを解消する働きがあります。
難しく考えすぎず、旬の食べ物を積極的に取り入れて、
日々の食事をつくっていけば、調子が整います。
食欲不振、胃もたれに

湿度や水分により胃の働きが低下すると、食欲不振や消化不良、胃もたれによるムカムカや胸のつかえが起きます。
そんなときは、体にたまった余分な水分を出すとともに、胃腸の働きを整える食材を。
キャベツは胃粘膜を修復するキャベジンを含み、疲れた胃をいやします。
おすすめの食材
キャベツ、アスパラガス、とうもろこし、さやいんげん、緑豆もやし、パクチー
体のむくみ、頭痛、肩こりに

水分がうまく排出されずにたまっていくと、むくみや頭痛、肩こりなどの不調の原因となります。
利尿作用が高く、水を出す食材を取り入れて、体のめぐりをよくしましょう。
しょうがや青じそなど、体を温めて発散する作用のあるものを一緒にとると効果が高まります。
おすすめの食材
さやいんげん、アスパラガス、とうもろこし、きゅうり、なす、グリーンピース、緑豆もやし、黒豆、パクチー、昆布、のり、わかめ、あさり、しじみ
暑さによるのぼせ、ふらつきに

暑さで汗をかきすぎたり、水分の摂取が少なかったり、また加齢に伴って体内の水分が不足すると、過剰な熱を冷ますことができず、のぼせやほてりにつながります。
夏野菜や夏の果実は水分を多く含み、体を冷やす性質があるので、上手に取り入れて余分な熱を冷ましましょう。
おすすめの食材
トマト、きゅうり、なす、冬瓜、緑豆もやし、空芯菜、バナナ、パイナップル、昆布、のり、わかめ、アスパラガス、ズッキーニ、オクラ
情緒不安やイライラに

生活環境の変化や多忙によるストレスが続くと、不安感や不眠、イライラなど、心の不調につながります。
漢方ではこれを「気(エネルギー)」のめぐりが悪くなっていると考えます。
酢や柑橘類など酸味のあるものや、香りのよい食材が、気のめぐりをよくします。
おすすめの食材
玉ねぎ、ピーマン、グレープフルーツ、シークワーサー、かじき、鮭、ジャスミン、酢、ワイン、酒
疲れ、だるさに

暑さによる体力の消耗や食欲不振により、疲れやすくなる季節。
汗とともに「気」も体の外に流れると考えられ、気が不足して元気もなくなります。
じゃがいも、肉類などの気を補う食材を食べてパワーを充塡しましょう。
気が満ちると、はつらつと活動することができます。
おすすめの食材
じゃがいも、大豆、枝豆、かぼちゃ、さやいんげん、グリーンピース、しいたけ、とうもろこし、桃、かつお、たこ、まぐろ、牛肉、鶏肉、豚肉
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<料理/山田奈美 撮影/有賀 傑 構成・文/河合知子>
山田奈美(やまだ・なみ)
「食べごと研究所」主宰。薬膳・発酵 料理家、食養研究家、国際中医薬膳師。東京薬膳研究所の武鈴子氏に師事し、薬膳理論、食養生について学ぶ。雑誌やwebなどで薬膳や発酵食のレシピを製作するほか、神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて、和薬膳教室や発酵教室などを開催。日本の食文化を継承する活動を行っている。『かんたんでおいしい砂糖なしおやつ』(小学館)、『からだが整う一汁一菜』(主婦と生活社)、『二十四節気を愉しむ季節の保存食』(マイナビ)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです