「盆栽」を小さなデトックスに
暮らしの傍らに、小さな自然を取り入れてみましょう
ここまで盆栽の歴史を書いてきたのですが、これから盆栽をはじめるにあたって、あまり細かいことを気にする必要はありません。
なぜなら、盆栽のいちばん大切なポイントは「自然を愛で楽しむこころ」だからです。
たとえば、「盆栽」という名前を「小さな自然」に置き換えてみてください。すると、ちょっと敷居が高そうだった盆栽も、気軽に楽しめそうな気がしてくるのではないでしょうか。
本来、盆栽とは暮らしの中で身近に楽しめて、自然の四季の移ろいをそっと知らせてくれる。そういう存在なのだと思います。
日々暮らしの中で、盆栽にお水をあげながら、
「新芽が出てきたな」
「お花の蕾が膨らんできたな」
「お水は足りているのかな」
と、小さな変化を感じる時間は、気持ちをちょっとだけニュートラルにしてくれて、こころの感度を上げてくれる時間でもあると思います。
何かと忙しい現代ですが、暮らしの中に盆栽=小さな自然を取り入れることで、穏やかな潤いに満ちたひと時を楽しんでみてはいかがでしょうか。

暮らしのなかの「盆栽の楽しみ」〜飾り方の例4つ〜
小さな盆栽は場所も取らないうえに移動させるのも簡単なので、窓辺やデスクの上、リビングやカフェスペースなどに飾って、気軽に楽しむことができます。
暮らしのなかの盆栽の楽しみ01
窓辺

やさしい日差しの入る窓辺は、木々を育てるにはうってつけの場所。

小物を用いての3点飾りも楽しいものです。上の写真は小さな水石を添えてみました。
暮らしのなかの盆栽の楽しみ02
バルコニー

バルコニーなど、半屋外のスペースは盆栽を育てる上でおすすめの場所です。自然の環境に近く、健やかに育成することができます。
暮らしのなかの盆栽の楽しみ03
デスクの上

いつものデスクのお供に。ふと見るたび、小さな自然が癒しを運んでくれそうです。
ただし、日当たりが悪いデスクに常に置いておくと日照不足になりがちなので、鑑賞する時以外は日当たりのいい窓辺や屋外などで育てましょう。
暮らしのなかの盆栽の楽しみ04
リビング・カフェスペース

小さな鉢は簡単に移動できるのが魅力。鑑賞しながらコーヒーを一杯。リラックスタイムのお供に。
* * *
盆栽は小さな鉢でも大きな鉢でも、一鉢で凛とした空気感を演出してくれます。ぜひ、お気に入りの場所に飾って楽しんでみて下さいね。
ただし、盆栽を育てるうえで日光は欠かせないものだということは覚えておきましょう。いつも暗いお部屋の中に置きっぱなしでは弱ってしまいますので、窓辺で育てたり、バルコニーで育てるのがおすすめです。
自然の扉を、そっと開いてみませんか?
暮らしの中に盆栽を迎え入れることで、きっとこれまで気付かなかった移ろいゆく自然の美しさや、儚さ、力強さを感じることが出来ると思います。そして、日本文化らしい精神性に触れるきっかけにもなると思います。
「小さな自然」を育てる体験が、みなさまの暮らしに豊かな時間を運んでくれたなら、とても嬉しく思います。
石木花(せきぼっか)
石木花は日本の伝統文化や自然をフラットな視点・解釈で見つめ直し、盆栽や花器を制作しているメーカーブランド。植物の育成はもちろん、陶器もすべて自社職人がハンドメイドで制作しています。自然と密接に関り合う日本の伝統文化や美しい自然をより気軽に、多くの人々に楽しんでほしいと願っています。

後藤卓也(ごとう・たくや)
山形県村山市で盆栽や花器を制作する株式会社石木花・代表取締役。日本の自然、日本の文化、日本の伝統に関心をもち、見つめ直すきっかけとなるような、新たな価値を持った商品を発信する。
自社ECサイトは、GMOペパボ主催の『カラーミーショップ大賞 2023』優秀賞を受賞。
石木花:https://www.sekibokka.jp/