Q:夏が近づくと「汗のにおい」が気になります。対策はありますか?

どうも汗のにおいが強くなっている気がするのです……
夏が近づいてくると汗を大量にかいてしまい、においが気になってしまいます。
歳を重ねるにつれてにおいが強くなっているような気もして……。自分ではわからないうちに周囲に迷惑をかけていないか心配になります。
食事や生活習慣で、汗のにおいを抑える対策はできるのでしょうか?
(らいらい さん/45歳、自営業)
A:加齢とともに「悪い汗」をつくる原因があります。改善するポイントを教えます

「汗腺」の働きが衰えているのかもしれません
汗には、「よい汗」と「悪い汗」がある
今回のお悩み相談はらいらいさんからの夏になると汗を大量にかいてしまい、においが気になるというご相談です。
そもそも汗は、もともとは無臭です。ではなぜにおうのでしょうか?
それは、汗や皮膚の汚れをエサにして細菌がつくり出したにおい物質のせいなのです。
年齢を重ねるにつれてにおいが強くなっているような気がするとのことですが、この原因のひとつに、汗腺の働きが衰えている可能性があります。
また、汗には「よい汗」と「悪い汗」があり、この違いがにおいの強さに左右します。
汗の99%は水分で、それ以外の成分はほとんどが塩分です。そのため、汗をなめると塩味を感じ、たくさん汗をかいた後、服や肌に白い跡が残るのは塩分のためです。
そのほかにも、ほんの僅かですが、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などのミネラルや電解質、乳酸や、尿素などの老廃物も含まれています。
「よい汗」「悪い汗」がつくられる仕組み
では、どうやって汗はつくられるのでしょうか?
「汗のもと」は汗腺の分泌部というところで、血液から赤血球などを取り除いた血しょうという液体からつくられます。
血しょうの中には、上記に挙げた各種のミネラルが含まれており、そのまま汗として全部出てしまうと体にとって必要なミネラルが大量に失われてしまう恐れがあります。
そこで、汗腺の分泌部から導管部という“汗の通り道”を通り、皮膚の表面まで運ばれる途中で、ミネラルなどが再吸収されます。この仕組みにより、余分な成分が含まれない99%水分の「よい汗」がつくられるのです。
ところが、汗の量が多くなるとこの再吸収が間に合わず、余分な成分を多く含む汗が出ることになってしまいます。
「よい汗」は99%水分ですからサラッとしていて、皮膚面で蒸発しやすいのですが、余分な成分が多い「悪い汗」はねばっとしており蒸発しにくいため、体温の調節の効率も悪くなり菌がつきやすく、においが発生しやすくなってしまいます。
汗のにおいの発生を防ぐ対策
対処法としては、ふだんから適度に運動をして汗をかくことによって、この汗の分泌や再吸収の機能を強化することができます。つまり「よい汗」をかきやすくなるので、においを抑えることができるのです。
また汗のにおいの原因は、内科的な病気が原因のこともあるので注意が必要です。
たとえば、糖尿病や肝機能障害、胃腸機能低下などが原因のこともあり、一度は内科などで健康診断を受けておくのも安心です。
また年齢とともににおいが強くなるいわゆる加齢臭は、過酸化脂質が原因で、悪玉コレステロールなどが悪さをしています。
これらを予防するにはいわゆる生活習慣病の予防と同じく、
●野菜中心のバランスの取れた食事をお腹八分目
●適度な運動
が大切になってきます。
汗のにおい対策におすすめの食材
におい対策によい食べものとしては、抗酸化物質であるビタミンCを多く含むパセリやブロッコリー、キャベツなどの緑黄色野菜やビタミンEを多く含むアスパラガスやアボカド、カボチャなどもおすすめです。
汗のにおい対策におすすめの漢方
漢方薬では、多汗症に使う防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)や、肥満を含む生活習慣病予防や便秘に使用される防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などもおすすめです。
それでも気になる場合には、現在ではいろいろな制汗剤やデオドラント製剤もあるので、香りやお肌に合うものをうまく利用するのもよいかもしれませんね。
今回の記事がらいらいさんはじめ、汗のにおいでお悩みの方の参考になれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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