(別冊天然生活『飛田和緒さんの四季を味わうごはんと暮らし』より)
飛田さんのスタメンしょうゆたち
長野県・大久保醸造店
紫歌仙(むらさきかせん)(濃口醤油)
360mL 1,152円
全国の名だたる料理店から愛される、長野県松本市のしょうゆ蔵「大久保醸造店」
大豆、小麦、米は100%国産等級品。塩は沖縄のシママース。じつに3年という超長期熟成後一年に1度、春先にのみ絞られる貴重な一品です。
「このしょうゆでつくるおいもの煮っ転がしは、こっくりつややか。夫は『お刺し身は紫歌仙で』と決めているようなので、切らすことのできない一本です」
長野県・大久保醸造店
紫大尽(むらさきだいじん)(淡口醤油)
900mL 1,425円
原料を吟味し、麹の力を生かしてていねいに仕込まれた大久保醸造店の薄口しょうゆ「紫大尽」
「大いに尽くす」の意味を込めた名前のとおり、もろみの重みでじっくり時間をかけて絞られたしょうゆは、「主張しないのにちゃんと塩味がきまり、おいしくなる」のだとか。
「煮物の野菜の色味を大切にしたいときや、うま味を加える隠し味などに、『井上こはく』と気分で使い分けています」
島根県・井上醤油店
井上こはく
360mL 702円
特製の麹でつくった甘酒を、しょうゆ麹とともに仕込んだ、薄口仕立てじょうゆ「井上こはく」
やわらかな甘みと、滋味あふれる塩味が特徴です。古式じょうゆ同様、原料の米・大豆・小麦はすべて国産にこだわっています。
「古式じょうゆよりさらに淡色なので、料理に響きません。ドレッシングやカルパッチョ、白身魚やいかのあえものなどに『うま味を含んだ塩』の感覚で使っています」
島根県・井上醤油店
井上古式じょうゆ
360mL 734円
大のおもち好きを公言する飛田さん。
「このしょうゆは少し前、仲のよい編集者さんに『おもち好きなのに古式じょうゆを使っていないの?』といわれて買ってみました。使ってみてなるほど納得。香ばしさを感じる味わいが好相性でした」
色が薄めなので、お刺し身の『ヅケ』に使うと魚の色を変えず美しい仕上がりに。
「炊き込みごはんを上品に仕上げたいときにも役立ちます」
味を決める、うま味のひとたらし
いま「魚醤」に夢中

最初の出合いは、イベントなどでたびたび訪れていた「湘南T-SITE」で手に取った『鵠沼魚醤』
近年飛田さんは、塩やしょうゆと並ぶ塩味づけの調味料として、魚醤を愛用しています。
「『鵠沼魚醤』を気に入って使っていたら、ほうぼうからいろんな魚醤をいただくようになって。地域ごとに魚種が異なるなど、その奥深さに感心するとともに魅力を実感するようになりました」
魚介類を塩漬けにして発酵させているため、香りもうま味もぎゅっと濃厚。
「しょうゆというよりは、うま味が詰まったエキスのようなもの。どばどばっと使わなくてもほんのひとたらしで絶妙な風味が加わり、味が決まるから、ぜひ一度試していただきたいです」
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飛田和緒さんの、健やかに日々を送るためのごはんと暮らしの知恵をご紹介。
季節の食材を使った保存食からお弁当まで、知恵がつまった一冊をお楽しみください。飛田さんがずっと伝えてきたのはいつものごはんと暮らし。そのときどきに「これが一番」と気に入ってつくったものばかりです。加えて最近の雑感や、いま私の料理に欠かせない道具、近ごろお気に入りの調味料などについて、新たにお伝えしています。このなかからひとつでもお気に入りが見つかったら、ぜひ繰り返しつくり、手になじませて、あなたの味にしてみてください。
<撮影/山田耕司 取材・文/玉木美企子>
飛田和緒(ひだ・かずを)
東京に生まれ、高校3年間を長野ですごす。結婚後に料理家としてデビュー。身近な食材で手軽につくれるレシピが幅広い年代の支持を集め、出版した書籍は100冊以上にのぼる。神奈川県の海辺の街に暮らし、娘の進学とともに現在は夫とのふたり暮らし。日々の食卓を記録したSNS「#ひとりごはんときどきふたり」も注目を集めている。著書に『おいしい朝の記憶』『くりかえし料理』(ともに扶桑社)など。インスタグラム:@hida_kazuo
※記事中の情報は、別冊天然生活『飛田和緒さんの四季を味わうごはんと暮らし』掲載時のものです