Q:音やにおいに敏感になってきました。急に気になるようになった原因は?

前は気にならなかったのになぜ……
最近、以前は気にならなかった音やにおいに敏感になっているように感じます。
たとえば、電車やバスの中で仕事をしている方のタイピングの音が気になったり、突然大きな音を出す車に心臓がドキドキとしたり。歩きタバコをしている方の前を通るときには、思わず息を止めてしまいます。
これまで平気だったのに、どうして急に気になるようになったのか……年齢なのか、精神的なものなどでしょうか。
(みっちぇるさん/40代、自営業)
A:「感覚過敏」は疲労やストレスが原因かも。リラックスする工夫をしましょう

いわゆる“繊細さん”と呼ばれる症状ですね
情報を受け取る感度が高い「感覚過敏」とは
今回はみっちぇるさんの「音やにおいに敏感になっている」というお悩み相談です。
これは感覚過敏の症状なのですが、片頭痛持ちの人にもよくみられる症状です。これには生まれもった性質もあり個人差があるのですが、すごく簡単にいうと脳の能力が高く、情報を受け取るアンテナの感度が高いということです。
鈍感の反対で敏感です。最近ではHSP(Highly Sensitive Person)といって、日本では「繊細さん」と表現されることもあります。
よく雨の降る前日に頭が痛くなり、自分の頭痛で翌日の天気がわかるという人がいますよね。これも感覚過敏の症状の一つです。
これは生物学的には危険を察知し、生き残る能力が高い体質なのですが、情報を取りすぎて脳が疲れるため、みっちぇるさんのように普段では気にならない音が気になる、タバコのにおいや化粧品、香水のにおいが気になる、といった状態になることがあります。
ひどい人では公共交通機関に乗ることができないという人もいるようです。
感覚過敏の要因
急に気になるようになった要因の一つとして緊張や疲労によるストレスや不安が原因で感覚が過敏になっている可能性もありますね。
感覚過敏がない人でも、体調が悪いときは普段はなんでもないことでも、体調の影響で余裕がなくなり、色々なことが億劫になることがあるのと同じような感じかもしれません。
「感覚過敏」の対処法は、刺激をできるだけ避けること
対処法としては基本的にはその過敏になる刺激を避けることが大切です。
聴覚過敏の場合は、耳栓やイヤホンなどで音を物理的に遮断する、大きな音がする場所への外出を避ける、などの対策をするとよいでしょう。
におい過敏に対してはマスクをしたり、または逆に自分がリラックスできる好きなにおいのアロマをマスクなどにつけてその香りで対処するなどもおすすめです。
また大人になってからの音過敏やにおい過敏には耳や鼻などの病気や脳の病気の可能性もまれにはあるので、心配な場合には一度耳鼻科や脳外科や神経内科を受診されておくのも安心ですね。
脳をリラックスさせるという意味では規則正しい睡眠、適度な運動、ストレスを溜めないことが重要です。
「感覚過敏」の症状を和らげる漢方
漢方では脳の興奮を鎮める抑肝散(よくかんさん)やそれより少しやさしめの抑肝散加陳皮半夏 (よくかんさんかちんぴはんげ)などの漢方薬を使用する場合もあります。
今回の記事がみっちぇるさんはじめ感覚過敏に悩む皆様の少しでも参考になれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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