(『天然生活』2024年7月号掲載)
クローゼットは「自分」という人間を知る場所
そうして最初の一歩を踏み出してみると、クローゼットの中がすっきりしていくことがうれしくなり、どんどん処分するように。そこで次の壁にぶつかります。
「気に入って買ったはずの服も、ワクワク感が薄れてくるともう手放したくなる。クローゼットに服を入れてはすぐに出すということをずっと繰り返していくのが嫌になったんです」
そこで昼田さんがしたのは、すべての服に対して「何のためにこの服を持っているのだろう」と自問自答を繰り返し、答えられないものを手放したことです。
「いままで曖昧な買い方をしていたから、クローゼットの中でも曖昧な役割しか果たしていなかったんだということにも気づきました。この考えになってから、本当の意味でワードローブが整ってきたように思います」
「何のために」を考えていくうちに、自分が大事にしていることが明確になり、自分という人間の輪郭が見えてきたという昼田さん。クローゼットは物置ではなく、自分を知る場所だったといいます。
「いま持っている服は、思い込みや他人の評価にとらわれない、自分が本当に心地いいと思える服。服が減ったことよりも、こうして自分の軸を認識できたことが何よりの収穫だったと思います」

〈監修・写真提供/昼田祥子 取材・文/嶌 陽子 イラスト/須山奈津希〉

昼田祥子(ひるた・さちこ)
ファッションエディター歴21年。出版社勤務を経てフリーランスに。2016年に大規模なクローゼットの片づけに着手、その体験を綴った著書『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』(講談社)が話題に。2023年からは瞑想インストラクターとしても活動中。
インスタグラム:@hiru.1010
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです