• 高温多湿の日本の夏。カビや虫、嫌なにおい……家のじめじめの悩みは尽きません。エッセイスト・石黒智子さんに、とにかく“乾かす”ことを第一に、さわやかに過ごす「夏のじめじめ対策」の知恵を伺いました。
    (『天然生活』2024年8月号掲載)

    湿度チェックで日々の家事を効率よく。乾かすことを第一に

    高台に立つ石黒智子さんの家。四方に窓があり、風が気持ちよく通り抜けていきます。夏でも家全体にからりとした空気が流れていて、湿気とは無縁のようにも思えるのですが……。

    「いえいえ、すごくジメジメする日もありますよ。湿度計を見たら90パーセント以上、なんてことも」

    家の壁には温度計、気圧計と並んで湿度計がかかっています。これで毎日湿度を確認するのが長年の習慣なのだとか。

    「どれくらい湿気があるのか、体感ではわからないときもありますから。湿度計が高い数値を指しているときは、なるべく洗濯をしないなど、家事の効率を上げるための目安にもなるんです」

    画像: ごく薄手の麻のバスタオルを二つ折りにしてバスマットとして使用。「パリのセレクトショップのものを15年前に買い、何度か染め直して使い続けています」

    ごく薄手の麻のバスタオルを二つ折りにしてバスマットとして使用。「パリのセレクトショップのものを15年前に買い、何度か染め直して使い続けています」

    とにかく水気を残さず、しっかりと乾かすこと

    石黒家の湿気対策は、とにかく水気を残さず、しっかりと乾かすことが基本。

    とくにキッチンや洗面所などで使うものは、どうしても水気が残りがちですが、乾きやすい素材を選んだり、よく乾燥する場所に置いたりと、細やかな工夫をこらしています。

    ほかにもにおいを通しづらいパンの袋に生ごみを入れる、蚊取り線香の灰で防虫対策をする、といった知恵もそこかしこに。身の回りにあるものを使って暮らしを心地よくするのは、まさに石黒さんの真骨頂です。

    画像: 洗面所には乾燥した木の実を飾っている。「見た目や手触りで湿っていたら、何らかの対策を考えなくては、というサインです」

    洗面所には乾燥した木の実を飾っている。「見た目や手触りで湿っていたら、何らかの対策を考えなくては、というサインです」

    不要なものを手放して、風通しのよい暮らしを

    一方で「日々の湿気対策も大事だけれど、別の視点からも考えたほうがいい」とも。それは「ものをたくさん持ちすぎていないか」ということです。

    「義母が生前、バッグをたくさんクローゼットに並べていたんです。母が亡くなったあとに整理したら、どのバッグにもカビが生えてしまっていてびっくりしました。几帳面だった母はバッグをひとつずつ布袋に入れてすき間なくきれいに並べていたのだけど、その分風が通らず、湿気がたまったのね。私がいま持っているバッグはひとつだけ。しかも毎日のように使うからカビは発生しません」

    家にものが多ければ多いほど、その分風の通り道をふさぎ、湿気もたまってしまう、と石黒さん。

    「わが家も最近、使っていないものを手放したら、風通しがよりよくなったと実感。ものを減らすことも大事な湿気対策だと思います」



    〈撮影/杉能信介 取材・文/嶌陽子〉

    石黒智子(いしぐろ・ともこ)
    雑誌や書籍を通じて家事のアイデアや暮らしの工夫、道具の選び方などを独自の視点で発信。「亀の子スポンジ」など、日用品のプロデュースにも携わる。『70歳からの軽やかな暮らし』(PHP研究所)など著書多数。サイトでは一日一文をアップし続けている。
    http://www.amy.hi-ho.ne.jp/luy-ishiguro/i_tomoko/

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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