誰もが通る、ファッションの迷い道
先日、NHKカルチャー青山で開催のフリートーク形式の『Salon de Kaori』(お茶会)を無事終えて多かった質問はやはりファッションの悩みでした。
・かおりさんは洋服はどこで購入するのですか?
・服が着こなせなくなった
・何を着ても服が似合わなくなった
というお悩みは2回開催した中、両方の回で出ました。
心の中で「キターーーッ!」と思いましたよ。経験者だからわかりすぎるんだもの!
これ、誰もが通る道と言っても過言ではないんじゃないかしら?
わたしの場合、記憶が定かではないけれど50歳半ばだったかしら? 去年まで気に入ってよく着ていた服、似合うと思っていた色、好きでいつも選んでいた形(襟ぐりの開きとか丈とか)がある時「あれ?」となるのです。

大好きなTabrik(タブリク)のコットンシルクのワンピース。ふわふわ着ていると100%「どちらの?」と声をかけられます
鏡で見た自分の姿が気に入らなくて出かける間際にバタバタと着替えたり、それでもなんか “今日の自分” に自信がないまま家を出る…気持ちも上がらない。眉毛がうまく描けなかった1日と同じ感じ。そこに追い討ちをかけるかのようにダブルでやってくるのがヘアースタイルの迷子時期ね。
過ぎて思うのは、そりゃそうなんですよ。だって顔の肌感、顔色、首から肩にかけてのライン、髪の毛の元気さ、色々が昨年とは違うんだもの。仕方ないこと。
そんな時、年齢のせいにしたり女終わったな(大げさ 笑)と諦めたらもったいないです。どんどんそっちに引っ張られちゃいます。

WONDER FULL LIFE (ワンダフルライフ)の鮮やかなブルーのモヘアのセーター。気に入りすぎて翌年にブラックを買い足したほど。でもやっぱりブルーがいいな
う〜ん、わたしの場合そんな時期が1〜2年続いたかしら? でもね、その迷子期を過ぎると嘘のように怖いものがなくなって人の目も気にならなくなって、自分が「好きっ♡」と思った服がまた着られるようになります。
自分の容姿に自信が持てなくなってしまっても、自分自身の生き方に自信が持てるようになるのでしょうね。素敵なこと!
第二の扉は必ず開く!
私の大きなきっかけは還暦でした。還暦を迎える地として選んだBALI。
そのめでたい日に何を着ようかな? と選んだ服が今まで着たこともないショッキングピンクのシルクのワンピースだったの。

還暦を迎える日に選んだBUNON(ブノン)のシルクドレス。赤を選ばなかったところがミソよ!
私らしくない色と思っていたけど異国なら恥ずかしくなく着られる。周りは知らない人、しかもおひとり様です。
このショッキングピンクのワンピースを着て褒められたことをきっかけにわたしの第二の扉がバーン!と開いた感じ。
ピンクの服に目がいくようになり、苦手意識のあったブルーにもチャレンジして、今では若い時から色黒だからと避けていた真紅のワンピースまで着ちゃっています。
ここで気をつけないといけないのは“上質のものを身につける”ってこと。クタクタ、ヨレヨレは大人の女性はもってのほかです。
何が言いたいのかというとね、これは誰もが通る道です。しょげず、自信をなくさず、そんな時期こそ人間磨きをしながら第二の扉が開くのを楽しみに待ちましょう。
必ずバーン!と扉は開きますから。
読んでくださってありがとー!

桜井かおり(さくらい・かおり)
文筆家。大手損害保険会社のOLを経て、東京・代官山「クリスマスカンパニー」にアルバイトとして勤務。その後、系列店のテディベア専門店「CUDDLYBROWN」で店長を務める。2001年3月、東京・松陰神社前で「カフェロッタ」をオープン。心のこもった接客に、全国からお客様が足を運び、お客様から相談やお手紙をもらうことも多かったそう。「カフェロッタ」は2021年9月末に建物老朽化のため、惜しまれつつ閉店。現在は、文筆業や、買い付けなどを行う。『カフェロッタのことと、わたしのこと』『愛してやまないカフェロッタのことと、わたしのこと』(ともに旭屋出版)に続く3冊目の著書『マダム・ロッタとパリ行かない?』(旭屋出版)が好評発売中。
インスタグラム:@kaorilotta
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