保護犬普及率の高い米国、オレゴン州ポートランドの動物保護団体「ザ・ピクシープロジェクト」を訪問。保護犬をポジティブなものにするための、唯一無二の取り組みや哲学について学びました。今回は「殺処分ゼロを掲げない理由は?」「だれもが保護犬と暮らすための活動は?」などのQ&Aを紹介します。
(『天然生活』2020年12月号掲載)
(『天然生活』2020年12月号掲載)
Q. だれもが保護犬と暮らせるために、具体的にどのような活動をしていますか?
A. 低額クリニックの運営と食料資材の無料配布をしています。
犬と人間は互いに助け合い、いやしとなる存在。金銭的理由などで培った愛情、信頼関係まで手放してほしくないものです。
「苦しい状況のときこそ、動物の存在は大きい。ホームレスの人にだって犬と暮らす権利はある。専属&ボランティアドクターからなる私たちのクリニックは、だからこそだれにでも低額(通常の約1/10)、もしくは無料で医療を施しています。ピクシーで譲渡したかどうかは問わず、だれでも受けられます。これは私たちならではのサービスでありモットーなのです」
食料やクレートなどの必要物資も然り。ペットショップをはじめ、犬を亡くした人や一般からの寄付を募り、必要な人に無料で支給されています。それらが滞りなくかなうのも、ピクシーの努力に加え、コミュニティ全体が、だれにでも公平に犬と暮らす自由と権利があると信じているから。

手術など高度な医療も施せる併設の自社クリニック。ピクシーの志に共感するボランティアドクターの存在も運営を大きく支える
©The Pixie Project

寄付された食料が、常に棚いっぱいに積み重なっている
〈撮影/SHINO 構成・文/瀬高早紀子〉
ザ・ピクシープロジェクト
学生時代から動物保護活動に関わってきたエイミー・サックスが2007年に発足。“ピクシー”は彼女の母が初めて譲渡した保護犬の名前。
https://www.pixieproject.org/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです