• 多くの犠牲者が出た戦争から、今年でちょうど80年。当時のことを聞くことができる機会も少なくなってきました。でも、だからこそ私たちは戦争の記憶を風化させず、受け継いでいく思いを新たにする必要があるのではないでしょうか。ユーチューバーの多良美智子さんが、辛い過去を掘り起こし、戦争で受けた苦しみや悲しみについて語ってくださいました。
    (『天然生活』2025年9月号掲載)

    人間対人間の関係からは戦争は決して生まれない

    ユーチューバー 多良美智子さん

    90歳になるいまも、古い団地でのひとり暮らしを楽しんでいる多良美智子さん。最近まで戦争体験は家族にも話していなかったという

    私は長崎で生まれ育ちました。8人きょうだいの7番目です。長兄をのぞいてあとはみんな女の子。

    幼いころは、歳の離れた姉たちによく面倒を見てもらいました。

    父は果物の卸や貿易の会社を営んでいて、私が小学校1年生のころ、それまで住んでいた本籠町(もとかごまち)(現在の籠町)から、中華街のある新地町に引っ越しました。

    画像: 5歳くらいのころ、家族で海水浴に行ったときの1枚。後列中央の男性が父親、膝に座って浮き輪を手にしているのが多良さん。周りにいるのは姉たち

    5歳くらいのころ、家族で海水浴に行ったときの1枚。後列中央の男性が父親、膝に座って浮き輪を手にしているのが多良さん。周りにいるのは姉たち

    その際、自分用の小さな籐椅子を抱えて新しい家に行ったことは、いまもよく覚えています。

    家の前は石畳の道で、子どものころはよく近所の友達と石蹴りをしたり、ろう石で道に絵を描いたりして遊びました。

    画像: 家での写真。前列左から2番目が母親、その右隣が父親。前列中央が多良さん、その右隣が8歳下の妹。制服姿の青年は「当時下宿していた海軍さん」

    家での写真。前列左から2番目が母親、その右隣が父親。前列中央が多良さん、その右隣が8歳下の妹。制服姿の青年は「当時下宿していた海軍さん」

    小学校にも、友達に会えるのがうれしくて毎朝いそいそと行っていました。授業が始まる前に、校庭でドッジボールをするのが楽しみでしたね。

    * * *

    天然生活2025年9月号では、海老名香葉子さんと多良美智子さんの貴重な戦争のお話を特集しています。

    戦争を忘れず、平和への祈りを紡ぐために、ぜひ誌面でもじっくりお読みください。



    <撮影/林ひろし、馬場わかな 取材・文/嶌 陽子>

    多良美智子(たら・みちこ)
    1934年長崎生まれ。2020年に当時中学生だった孫と始めたYouTube「Earthおばあちゃんねる」では、日々の暮らしや料理をアップし、登録者数17万人を超える大人気チャンネルに。お元気シニアの代表として、多くの同世代や後輩世代に支持されている。著書に『90年、無理をしない生き方』『88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所』(ともにすばる舎)など。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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