(『暮らしのまんなか』vol.41より)
好きな時間を減らさずに、家事を回す
会社勤めと子育てを両立しつつ、その間に海外を含めた転居が数回。目まぐるしく変化する日々を支えてくれたのはいつも「好きなもの」の存在だったという伊藤英代さん。
夫婦で暮らす自宅には、そんな好きなものがたくさんあります。飾って眺めるもの、手に取って使うもの、身にまとうもの、味わい、体をつくるもの。暮らしを形づくるひとつひとつを大切にしたい、そんな思いが伝わってくるようです。

ダイニングには30年以上暮らしをともにしている食卓と、家族それぞれが気に入って選んだデザインの異なる4 脚の椅子。壁面の飾り棚は季節の花を活けるために自作した
私を支える「好き」なものを大切に
「祖父の影響で中学生のころに始めて、いまも続けているDIY。悔しいことがあると購入し、自分を奮い立たせてきた『アスティエ・ド・ヴィラット』の器。初めて夫婦で選んで海外転居の際にも運び込んだダイニングテーブル。何度も試してようやく完成した自分好みのケーキのレシピ。絵本やおしゃれ、星野道夫、猫、植物……ほかにもたくさん。落ち込んだり悩んだりするときほど、好きなものに助けられてきました」

DIYアイデア①
道具を迷子にしない、見せ収納
オープンなアイランドキッチンはものが出しっぱなしだと目立つため、毎食後にリセット。「 キッチンを自分の好きな風景にしておくこと」が、料理のモチベーションにつながる

DIYアイデア②
オープンラックや棚を組み合わせて
吊るす。立てる。引き出す。すべての道具を見えるようにするため自作した棚。古道具を分解してパーツにし、色味はグレーで統一することでアンティークの雰囲気に

DIYアイデア③
壁に絵を描くように、棚をつくる
食器棚の上や壁に取り付けた木箱、棚板など、すき間なくつくられた収納スペース。実用品も、飾りも、区別なく並ぶ

<撮影/星 亘 取材・文/片田理恵>
伊藤英代(いとう・はなよ)
カフェ店主。アメリカ、オーストラリア、日本での会社員生活を経て、10年前に東京から千葉へと生活の拠点を移す。築80年の納屋を2年かけて夫婦でリフォームし、2024年に週末営業のカフェ「TheBarn」をオープン。併設するポタジェでは、野菜やハーブ、花を一緒に育てている。
インスタグラム@thebarn1460
<訪ねた人>
片田理恵(かただ・りえ)
編集者・ライター。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。住まいや食、子育てなど、暮らしをテーマにした取材・執筆を手がける。2023年より、司書としても活動中。
※記事中の情報は『暮らしのまんなかvol.41』本誌掲載時のものです
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『暮らしのまんなかNo.41』では、伊藤英代さんの暮らしを6pで紹介しています。
『No.41』のテーマは、「明日のために、暮らしを更新しつづける」ことです。世の中の流れや、家族の成長によって、いままで大事にしていたものが、くるっとひっくりかえる。そんな経験をしたことはありませんか? 当たり前だったことが、当たり前でなくなるとき、戸惑ったり、不安になったりするものです。でもきっとそれは新しい扉を見つける大きなチャンス。明日からは何を「一番大事」にしていこうか。周囲の変化に流れさない、私だけの「ものさし」を持つことができれば、ぶれずに凛と生きていけるはずです。
第1章「新しい暮らしの『ものさし』を見つける」
第2章「家事の工夫で毎日を整える」
第3章「わが家らしい時間のつくり方」