おしゃれこそ、元気の素
毎日着る服をどう私らしく着こなそう。
シンプルで、ベーシックな服をおしゃれに着こなす工夫は無限大です。

德田さんのクローゼット。シーズンオフのものは、この場所に

ブルキナバスケットに、Tシャツなどの衣類を収納
明日、何を着よう? 明日、どんな風に暮らそう?
平凡な毎日こそ、自分らしいおしゃれを大切にしています
移住でものを整理する際に決めたマイルール、「3年間、使わないものは処分」を基準にして、手持ちの服を見直しました。
残った服はシンプルでベーシックなものばかり。
自分の好きな世界がはっきりと見えてきたのです。期限で区切って整理しただけなのに、ずっと愛用し続けてきた定番のアイテムばかりが残りました。
長年、ファッション誌の編集をしてきましたから、いろいろな流行に触れ、幅広いスタイルを楽しんできたのに不思議なものです。
私のおしゃれをつくる3要素「シンプル、ベーシック、カジュアル」
私にとって「自分らしいおしゃれ」は、シンプルでベーシックで、そしてカジュアル。そんな飾らない服たちは、自然の中の暮らしとも相性がぴったりです。
ただ、おしゃれの面白いところは、そんな定番服も組み合わせ次第で、いろいろな表情を引き出せるということ。
着こなしの工夫で一枚の服を幅広く楽しむことができますし、それがおしゃれの醍醐味だと思います。
毎日着る日常服でそんな変化を楽しむことは、今の私にとってはとても大切なことです。

ドット柄のシャツワンピースに、トラッドテイストのベストをカジュアルに重ね着して
「明日の服を考える」のは「明日をどう過ごそうか」をイメージするのと同じこと
おしゃれすることは、私の元気の源です。明日着る服は前の晩に準備するのが日課になっています。
だって、明日何を着ようか考えることは、私にとっては明日をどう過ごそう、明日をどう暮らそう、ということと同じなんです。定番服たちをフル稼働して、いかにおしゃれ感を引き出すかを考えるのはとてもワクワクします。
それって大げさに聞こえるかもしれませんが、でもポジティブな気持ちになれるので、毎日を楽しむためにおしゃれを考えることを習慣にするのもいいんじゃないかしら、と思います。自分らしいおしゃれとは、なんて難しく考える必要はありません。もっと気軽な気持ちで日常着を選んでみてはいかがでしょうか。
変化がない毎日だし、定番服なんて変わり映えしない。そう思っていたら何も起こりません。そういう方こそ、気持ちを切り替えておしゃれを楽しんでいただきたいです。

ある日のお散歩スタイル。光沢のあるカーキのジャケットから白黒のボーダーのトップスをのぞかせて
おしゃれの基準は、今の自分
そういえば、私は若いときから年齢を意識したおしゃれをあまり考えたことがありません。もちろん、今は体形カバーとか、肌のくすみが気になるので配色を工夫したりはしますが、若作りして派手になりたいわけでもないんです。
基準は自分。私の場合は、自分らしくいるために気分を盛り上げたりパワーを与えたりしてくれるのが、まさしくおしゃれなんですよね。毎日を明るく、元気ハツラツ! でいたいし、そう見られたい。
そういう自分でいられるおしゃれを心がけています。

德田さんの安曇野の家
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東京から安曇野に移住して16年。元『装苑』編集長、初のエッセイ
第2の人生を自分らしく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしとおしゃれの工夫
60代で長野県安曇野市に移住し、第2の人生をスタートさせた元『装苑』編集長、德田民子さん。移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは“シンプルって、心地いい”ということ。移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた德田さんの心豊かな日々をご紹介します。
【もくじ】
◆第1章 安曇野で始めたセカンドライフ
◆第2章 シンプルで心地よい暮らしのマイルール
◆第3章 おしゃれこそ元気の素
◆第4章 四季を楽しむ家しごと
◆第5章 毎日をごきげんに過ごしたい
<撮影/松村隆史>
德田民子(とくだ・たみこ)
1945年生まれ。文化服装学院デザイン科卒業。文化出版局で『装苑』『ミセスのスタイルブック』などファッション誌の編集長を務める。退職後、広告関係のディレクターをしていた夫とともに長野県安曇野市に移住。自然豊かな環境でシンプルながらも洗練された暮らしや、ベーシックなアイテムを自分らしく着こなすおしゃれに注目が集まる。現在はフリーのファッションコーディネーターとして、雑誌の監修やイベントなどでの登壇など、マイペースに活躍を続けている。著書に『別冊天然生活 德田民子さんのおしゃれと暮らし』(扶桑社)など