(『天然生活』2019年4月号掲載)
自分の素肌を、手づくりでやさしく守る

井出順子さんが教えてくれたのは、体にも暮らしにもやさしい手づくりの石けん。
「従来の手づくり石けんは、泡立ちにくかったり、つくるときにもとろみが出るまで時間がかかったり。より身近なものにしたい、と試行錯誤をし、8年かけていまの基本の石けんにたどり着きました」
慣れれば1時間以内でつくれるという石けん。材料も身近な店で手に入り、高価なものはありません。余ったオイルは料理に、あるいは肌が乾燥したときの保湿やメイク落としとしても。
大切なのは、分量のバランス
「つくるうえで気をつけなければいけないのは分量です。オイルと苛性ソーダの比率が崩れると余剰分が残り、肌への刺激になったり石けんの仕上がりに影響したりします」
でき上がった石けんは、洗浄力のもととなるアルカリ性を和らげるために1カ月以上、寝かせます。自分の肌の状態をみながら、刺激が強いと感じたら、さらに熟成を。
「石けんをつくること、使うことが、自分を大切にすることにつながります。ぜひ、もったいないと思わずに、体にも髪にも使ってみてくださいね」
基本の石けんのつくり方

井出さんがベストな配合という基本の石けん。完成後の熟成時間が長いほど、肌にやさしい仕上がりになります。材料は、植物オイルと水分、苛性ソーダだけです。好みで精油をプラスして。
<注意事項>
*苛性ソーダ水は必ず換気のよい安全な場所でつくること。苛性ソーダを薬局で購入する際には印鑑が必要です
*苛性ソーダや石けん生地に触れるものは、ステンレス、耐熱ガラス、耐熱プラスチックのいずれかを使用してください
材料
●A | |
・ココナツオイル | 100g |
・パームオイル | 80g |
・ココアパウダー | 20g |
●B | |
・ピュアオリーブオイル | 80g |
・米油 | 80g |
・ひまし油 | 40g |
●苛性ソーダ | 55g |
●精製水 | 120g |
●お好みで精油(オレンジスイート、ラベンダーなど) | 5mL(100滴) |

<用意するもの>
1 耐熱ボウル
2 温度計2本
3 エプロン
4 ゴム手袋
5 眼鏡
6 マスク
7 1Lの牛乳パック(石けん型)
8 キッチンスケール
9 耐熱計量カップ(できればふたつ以上)
10 計量スプーン
11 ステンレススプーン(できれば2本以上)
12 ゴムベラ
13 泡立て器
<注意事項>
※作業の前に、エプロン、ゴム手袋、眼鏡、マスクを身に着けてください

つくり方
1 苛性ソーダを少しずつ精製水に加えて溶かす。蒸気を吸い込まないように注意。温度が80℃前後まで上がるので、40℃前後に下がるまで安全な場所に置く。下がりすぎたら湯せんを。

2 計量カップにA(固形オイル)を1種類ずつ入れ、電子レンジや湯せんで様子をみながら溶かす。溶かしたオイルは、ひとつのボウルに合わせる。

3 2のボウルの中に、B(液体オイル)の3種類も合わせ、40℃前後になるまで待つ。下がりすぎたら湯せんか電子レンジで調整を。

4 1の苛性ソーダ水と、3のオイルがそれぞれ38~43℃になったら、3のボウルに苛性ソーダ水を、はねないよう静かに入れる。

5 トレース(泡立て器から石けん生地を垂らし、表面にできる跡)が出るくらいまで、泡立て器で混ぜる。なるべく手を休めずに、20~30分。

6 好みで精油を加え、泡立て器でなじませる。おすすめは、オレンジスイートとラベンダーをそれぞれ2.5mL(50滴)ずつ。

7 石けん型に、石けんの生地を流し入れる。ボウルに付いた生地もゴムベラできれいに取る。すべて型に入れたら、軽くトントンと台で底を叩き、気泡を抜くこと。

8 熱が逃げないようラップや新聞紙をかけ、保温箱などに入れる。24時間おいたら、様子をみて型から出す(牛乳パックの場合はカッターで切って出す)。カットが可能なのは1週間後。風通しのよい場所で1カ月以上おく。

memo
【トップにデザインをしたい場合】
トップ(石けんの上部)にデザインをする場合は、型入れから2~3時間後、硬さが出てきてから。スプーンやバターナイフなどで好きなデザインを。

* * *
〈監修・製作/井出順子 撮影/有賀 傑〉
井出順子(いで・じゅんこ)
「自分らしく、健康で自然なあり方」を模索し、アロマテラピーやハーブの知識を生かして、手づくり石けんのある生活を実践。ヨガ講師も務める。著書に『石けんだけで肌はきれいになる』(KKベストセラーズ)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです