• 「よく眠れない」という悩みを抱えている方は、年齢ではなく“呼吸の乱れ”が原因かもしれません。睡眠時の呼吸が整えば、眠りと体調にうれしい変化が。自身の体験から睡眠と呼吸を研究し、寝具の開発に取り組んだトラタニ株式会社・虎谷生央さんに、医師監修のもと、枕が呼吸に与える影響について教えていただきました。
    (『健康寿命が“ぐーっ”とのびる! すごい「睡眠呼吸」』より)

    寝具開発で気づいたこと

    「枕難民」という言葉があるように、世の中には自分に合う枕がなかなか見つからず、何度も買い替えたり、試したりしている人が多いようです。

    理想の枕に出合えないのは、私がそうだったように、どの枕でもぐっすり眠れないからだと思います。眠れないのは、私からいわせると、やはり呼吸が浅くなるからです。

    自然に呼吸が深くなる寝具開発で気づいたことは、マットレスより枕のほうが呼吸の質に大きな影響を与えているということでした

    呼吸が深くなる枕を開発できれば、マットレスの性能は多少落ちても呼吸を深くできると考えていました。実際、枕が完成した今は、この枕さえ使えば、ふつうの体圧分散のマットレスでもぐっすり眠れると思っています。

    ほんの少しの高さの違いが、呼吸に影響を与える

    枕が難しいのは、頭の重さ、首のアーチ、顎の動き、舌の位置、気道の広がりなど呼吸にかかわる要素が多すぎて、少しの角度や高さの違いが、マットレス以上に呼吸のしやすさに大きく影響するからです。

    呼吸が深くなる枕があれば、マットレスにはそれほどこだわらなくていいと極論するのは、それが理由です。

    枕もマットレスと同じように、ウレタンに凸凹をつくっていろいろと試しましたが、ほんのちょっとした高さの違いで、呼吸が大きく変わることを体感しました。

    理想的な寝姿勢とは

    理想的な寝姿勢とは、枕に頭を乗せたときに首と背中が自然なカーブを保つことで水平になり、空気の通り道となる気道がまっすぐに開いている状態といえます。

    しかし、世の中にある多くの枕は、頭を乗せると頭が背中やお尻の位置より高くなります。これが、一般的な枕のひとつ目の欠点です。

    首の位置よりも頭が高くなると、気道の上のほうが折れた状態になります。これだけで空気の出入りがスムーズに行われなくなるため、呼吸がしづらくなります。

    「頭を高くするのが枕」だと思っているところもありますが、子どもの頃は枕を使わずに寝ていませんでしたか? 実は、それがいちばん正しい姿勢なのです。頭部の水平を保つことで、前傾と後傾のしすぎを回避できます。

    もうひとつの欠点は、マットレスと同じように体圧がかかることです。マットレスに仰向けになると背中側から全身に体圧がかかるように、枕に頭を乗せると、頭だけでなく、枕と接する首にまで体圧がかかります。

    体圧を分散できるウレタン素材のような枕の場合、頭から首まですっぽりと沈み込むため、首から上には体圧がかかることになります。

    ちなみに、そば殻や薄くて硬い枕なら、体圧は出っ張っているところに限定されます。枕の場合でも、この体圧が、呼吸を邪魔するのです。

    本記事は『健康寿命が“ぐーっ”とのびる! すごい「睡眠呼吸」』(あさ出版)からの抜粋です

    〈 イラスト/ナカミツデザイン 監修/青木晃(内科医・一般社団法人日本抗加齢医学会専門医)〉

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    『健康寿命が“ぐーっ”とのびる! すごい「睡眠呼吸」』(虎谷生央・著 青木晃・監修/あさ出版)

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    “睡眠時の呼吸の質”に光を当てた、健康長寿のための決定版
    眠れない原因は「年齢」や「ストレス」ではなかった――。70年の脳波研究でも解けなかった睡眠障害の真犯人は、“寝具と呼吸”にあった! 本書は、「睡眠中の呼吸の質」が健康寿命を大きく左右することを、著者自身の不眠体験と医師による監修をもとに解き明かした初めての一冊です。
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    虎谷生央(とらたに ・いくお)
    トラタニ株式会社 代表取締役社長。2005年「トラタニ株式会社」を設立。60代後半での自身の不眠や心房細動などの体調不良がきっかけとなり、普段無意識にしている呼吸の中でも、特に「睡眠中の呼吸の質」が健康に大きな影響を与えていることに着目。あらゆる健康法や寝具を試す中で、「寝具の体圧が呼吸を妨げている」という構造的課題を発見。5年に及ぶ独自の試行錯誤と特許出願を経て、世界初の呼吸促進寝具「トラタニ好循環寝具」を開発。現在は「呼吸と睡眠で健康寿命を伸ばす」ことをライフワークとし、商品開発・講演・執筆活動を通じて“呼吸の再発見”を広く社会に発信している。

    青木晃(あおき・あきら)
    内科医・一般社団法人日本抗加齢医学会専門医、一般社団法人日本美容内科学会理事長/一般社団法人日本健康医療学会常任理事、一般社団法人日本ウェルエイジング検定協会理事、一般社団法人日本抗加齢医学会評議員、元順天堂大学大学院加齢制御医学講座准教授。代謝・内分泌内科医として防衛医科大学校、旭川医科大学、自衛隊中央病院などで糖尿病、肥満症の臨床・研究に従事。1995年の地下鉄サリン事件では、当時勤務していた自衛隊中央病院から応援として、多くの患者が搬送された聖路加国際病院に派遣され自衛隊医官として従事。現場において初期治療の的確なアドバイスを指示することで、多くの患者の命を救う。抗加齢医学の第一人者として、雑誌やテレビなどのメディアでも活躍している。著書多数あり。



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