(『天然生活』2024年11月号掲載)
家族の力を借りながら、山に自生する立派な葉を届けて

斜面に自生するつわぶき。「日が当たりすぎると葉焼けするから、日陰ができるようにしてやります」
体力の必要な草取りは、少し前から心強い味方を得ました。会社員を定年退職した夫の利明さんです。
「家のことも畑もなんもせん人だったけど、手伝ってくれるようになって。もともときれい好きだからていねいに刈ってくれるんです。パック詰めは娘や孫が来て一緒にやったりね。にぎやかですよ」
朝は5時半に起きて犬のなっちゃんと散歩しながら、家の周りから棚田まで、1時間ほど葉っぱを確認するのが竹中さんの日課です。

早朝から山の斜面を行き来して葉っぱの様子を確認。「朝だけで6000歩は歩きます。自然と足腰が鍛えられた」という健脚ぶり
朝食を済ませたら、自宅の隣にある作業所へ。
「必需品」というタブレットを使い、どんな注文が来ているか確認して受注スタートの8時に備えます。
「彩」では、農家各自がパソコンやタブレットで注文を受けて出荷するのです。
「8時にみんなが一斉にやるけん、利益率が高いものや注文の少ないものは競争になるね。お父さんと一緒に、今日はこれとこれを取ろうって手分けして。売り上げが画面で見えるし、ようけ出せば順位も上がる。毎日通信簿をもらっとるみたいで張り合いが出ます。私、OLさん並みに稼いどると思うよ」

もみじ同様に注文が多く利益率の高い南天は、希望する農家に提供できるように、「いろどり」で苗木を育てている
〈撮影/村上伸明 取材・文/熊坂麻美〉
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです