(『天然生活』2023年9月号掲載)
萩尾エリ子さんの大好きな4冊

古き良き時代に想いを馳せて
『昔日の客』

関口良雄 著/夏葉社
東京・大森にあった古書店「山王書房」主人による随筆集。
「『文士村』と呼ばれたこの地域で暮らしていたこともあり懐かしくなります。旧仮名遣いの初版(左)もよいけれど、復刊版(右)も造本が美しく作品への愛を感じます」
何度開いてもみずみずしい詩世界
『食卓一期一会』

長田 弘 著/ハルキ文庫
食べ物や食にまつわる詩66篇を収録。
「食べ物でたとえるなら『つまみ食い』でも深く味わえる作品。どこを開いても毎回新たな発見があります。旅先でも家の中でも持ち歩いてほしいから、ぜひ文庫本でとおすすめします」
土地にも背景にも親しみある一冊
『探偵・竹花 帰り来ぬ青春』

藤田宜永 著/双葉社
シリーズ6作目、長野県を舞台としたハードボイルド・ミステリー。
「日本が舞台なのに、どこか異国情緒を感じさせてくれる筆致。不思議なご縁も感じ、私には青春が『帰り来ぬ』ではなく、よみがえるような一冊です」
「香り」の謎をめぐる冒険
『匂いの帝王』

チャンドラー・バール 著/金子 浩 訳(絶版)
多くの謎に包まれた「匂い」のメカニズムを解明する、天才科学者ルカ・トゥリンの半生を追ったノンフィクション。
「香水はつけませんが、香水の物語は大好き。難解な内容を解きほぐすように、繰り返し読んでいます」
〈撮影/寺澤太郎 取材・文/玉木美企子〉
萩尾エリ子(はぎお・えりこ)
ハーブショップ「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」主宰。ナード・アロマテラピー協会認定アロマ・トレーナー。日々、植物の豊かさを伝えることを喜びとする。著書に『香りの扉、草の椅子』(扶桑社)、『八ヶ岳の食卓』(西海出版)、天然生活の人気連載をまとめた『あなたの木陰』(扶桑社)など。
https://www.herbalnote.co.jp/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



