• 風邪などの感染症や乾燥・冷えなど、何かと体調をくずしやすいこの季節。体の防御力を高めて冬を元気に乗りきる方法を、自然派医師の本間真二郎先生に聞きました。今回は、免疫力を上げる食習慣について教わります。
    (『天然生活』2024年12月号掲載)

    免疫力を上げる生活習慣

    インフルエンザやノロウイルス、新型コロナウイルス……。毎年冬になるとさまざまな感染症が流行します。

    この冬も例外ではない、と話すのは本誌連載でもおなじみの医師、本間真二郎先生です。

    「冬は体が冷えやすく、体温が下がると免疫力も下がりがちです。加えてここ数年の過剰な滅菌・除菌などによっても免疫力は下がっているはず。この冬も感染症は間違いなく流行するでしょう」

    ではいったい、私たちはどんな備えや対策をすればいいのでしょう。

    すぐに思いつくのは手洗いやマスクなど。でもそうした「外の対策」よりも大事なのは、とにかく自分の内なる力=防御力を高めることだと本間先生はいいます。

    「現代では“ウイルスは敵で排除すべきもの”という考えが主流ですが、実は私たちは日頃からさまざまなウイルスと接触しています。けれども免疫が正常に機能していれば感染症にはかかりません。つまり、日頃から免疫力を高めてウイルスをはね返す、あるいは感染しても軽症ですむような体にすることが最も有効な対策なのです」

    免疫機能の鍵を握るのは腸内細菌。腸内には免疫細胞の7割が集中しています。

    そのため、免疫力を高めるにはふだんから腸内細菌を元気にすることが重要です。

    「といっても、何も特別なことをする必要はありません。ふだんの食事や暮らしのなかで“これは腸にいいことか”と考え、ひとつずつ選択していけばいいのです」

    腸内細菌を元気にする食習慣

    土地の旬のものを和食でいただく

    画像: 土地の旬のものを和食でいただく

    自分の体と住んでいる土地は切り離せないというのが「身土不二(しんどふじ)」の考え方。

    住んでいる土地でとれた旬の食材をいただくのが、私たちの健康や腸内細菌にとってベストなのです。さらに日本の伝統食である和食は、私たち日本人の体質に合っています。

    「玄米などの炭水化物に味噌汁、漬物が基本の3点セット。冬は体を温める冬野菜も積極的にとりましょう」

    献立に発酵食品を入れる

    画像: 献立に発酵食品を入れる

    発酵食品は、乳酸菌やビフィズス菌といった体に有用な菌を増やし、腸内細菌のバランスを整えます。

    「しょうゆ、味噌、みりん、漬物、納豆など、和食には発酵食品が豊富にあります」

    糖質を減らしすぎない

    画像: 糖質を減らしすぎない

    「腸内細菌のエサは主に糖質。減らしすぎると腸内細菌がダメージを受けます」

    「糖質制限」ではなく、腸の奥の腸内細菌まで届く未精製の米やいも、麦などの穀物をとる「糖質選択」を。

    食物繊維をよく食べる

    画像: 食物繊維をよく食べる

    腸内細菌を整えるほか、解毒や免疫力アップなど、多くの働きをする食物繊維。

    「水溶性(昆布やわかめなど)と不溶性(穀物、豆類、きのこ類)の食物繊維をバランスよくとりましょう」

    食事はよくかんで

    画像: 食事はよくかんで

    よくかむことで唾液の分泌が増え、胃腸の消化吸収を助けます。

    また唾液には免疫物質が含まれているため、免疫力を高め病気を予防する作用も。

    「ひと口につき30〜50回かみましょう」

    不自然なものを食べない

    画像: 不自然なものを食べない

    食品添加物や農薬、遺伝子組み換え食品などは腸内細菌にダメージを与えるほか、冷えの原因にも。

    「食品表示に気をつけるほか、なるべく加工されていない食材を選ぶようにしましょう」



    <監修/本間真二郎 取材・文/嶌 陽子 イラスト/はまだなぎさ>

    本間真二郎(ほんま・しんじろう)
    小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。2009年より栃木県那須烏山市で地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践中。2児の父。著書に『本間真二郎さんの病気にならない暮らし方』(扶桑社)、『あかちゃんからのかぞくの医学』(クレヨンハウス)など。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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