翻訳者が紡ぎだす世界観の違いを楽しんで
本選びをするうえで、海外文学の楽しみのひとつに「翻訳の妙を味わうこと」があります。
「翻訳者によって言葉の選び方や文章の紡ぎ方が違っていて、その訳文の世界観を楽しむことも海外作品を読む魅力になっています」と語るコウさん。
『秋』アリ・スミス著 木原善彦訳(新潮社)
コウさんが大好きな翻訳者のひとりとして挙げるのが木原善彦さんです。
『天然生活』12月号でおすすめいただいた『秋』(アリ・スミス著)をはじめ、『春』『夏』『冬』など四季をめぐる一連の作品も翻訳しています。
「木原さんの翻訳は、本の世界が映像のように浮かんでくるので、心躍るような感覚を味わえるのがとても好きです」と話します。
『こころ朗らなれ、誰もみな』アーネスト・ヘミングウェイ著 柴田元幸訳(スイッチ・パブリッシング)
もうひとり、好きな翻訳者として挙げるのが柴田元幸さんです。
ヘミングウェイの短編集『こころ朗らなれ、誰もみな』は、柴田さんによるタイトルの美しい言葉に惹かれて手に取った一冊。心に響く言葉が織りなす物語の世界観が、静かに深い余韻を残してくれます。
<撮影/柳原久子、取材・文/工藤千秋>
コウ静子(こう・しずこ)
国際中医薬膳師、茶人、料理研究家。体にやさしい料理に、弟は同じく料理研究家のコウケンテツさん。母は韓国料理研究家の李映林さん。体にやさしい料理に定評。季節の恵みを楽しむ料理教室や料理会、茶会を各地で開催している。開催予定はインスタグラム@kohshizukoで紹介。近著は『季節に寄り添う韓国茶』(グラフィック社)。
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天然生活2025年12月号「秋から冬にじっくり読みたい本」の記事では、料理研究家のコウ静子さん、モデルの下道千晶さん、建築家の東端桐子さんを取材しました。
読書家のみなさんが選ぶ、お気に入りの本をたっぷりご紹介。小説、エッセイ、漫画、レシピ本とジャンルも多種多様です。ぜひお楽しみいただければ幸いです。








