(『天然生活』2024年12月号掲載)
発酵の知恵で整える
昔から気管支が弱く、乾燥すると咳が出て、毎年1月頃には風邪をひくのが恒例行事だったという榎本さん。けれども自ら対策を重ねていくうちに、そんなマイナスの恒例も払拭できるようになっていきました。
「喉のイガイガを感じたらはちみつをお湯で割って飲んだり、体が冷えたら酒粕料理をメニューに加えたり。小さな不調を感じた時点で何かしら対応をすれば、体調を大きく崩すこともほとんどなくなりました。もちろん若さや体力は少しずつなくなりますが、そのぶん知識や知恵でカバーです」
また数年前から続けている発酵食生活も、確実に体力の底上げをしてくれていると感じているそう。
料理家になる前の会社員時代から、ランチには自宅から味噌汁を持っていくような食生活だったそうですが、その後より幅広い発酵食を口にするようになり、腸内環境もさらに整っていった様子。
「免疫力と腸内環境の関係も、広く知られてきましたよね。でも健康のためというより、『塩麹の素朴なスープが食べたいな』『酒粕入りのお味噌汁がいいね』と、好きなものを食べるうちに、気づいたら元気になっていました(笑)。冬を快適に過ごせて、改めて『発酵食はすごい』と感謝です」
短時間でもリラックスを
寝る前にゆっくり入浴し温まることが、出産後はなかなかできなくなりました。

寝る前は、鎮静効果の高いラベンダー入りのオイルを活用。首筋や手首、こめかみなどに塗って、何度か深呼吸
また、就寝前にディフューザーでアロマオイルを楽しむのも習慣でしたが、小さな子どもがいると気軽には使えません。
そこで冬はとくに、保温効果が持続する入浴剤やロールオンアロマなど、手軽でもリラックス効果が高いアイテムをフル活用します。

「イード」のロールオンアロマと、さっと塗るだけで保湿効果抜群な「ヴァーチェ」のマルラオイル

大絶賛の「ツムラのくすり湯」。子どもと一緒に早めに入浴しても、寝るときまでポカポカが続くそう
乾燥する空気から喉や気管支を守る
呼吸器系が弱く、冬の不調は喉から始まることも多いので、意識してケアします。
お手製のジンジャーシロップは冬の定番で、たっぷりすりおろしたしょうがのおかげで体が温まり、消化も促進。

すりおろしたしょうがにシナモンを加え、さっと加熱処理をしたあとはちみつに漬け込んでシロップに

ジンジャーシロップはお湯を注いで楽しむ。夜は喉の乾燥を防ぐため、マスクを着用して眠るように
やはり体を温める効果のあるシナモンを加え、抗菌・抗ウイルス作用のあるはちみつで仕上げます。
軽い風邪なら、撃退してくれるそう。
暖房温度は低めに設定し自律神経を整える
「エアコンの暖房は空気の乾燥を強めるので喉を傷めやすく、外との寒暖差が激しいと体温調整で自律神経もクタクタに。子どもが暑がりなこともあり、エアコンは温度を低めに設定しています」

その分部屋着やソックスを厚手にして、しっかり保温。

母子おそろいのフリースと、足を締め付けないのがいい「あしごろも」の「オーガニックふんわりソックス」
温かいお茶やドリンクを適度に飲むことで、体調管理を行います。
<撮影/近藤沙菜 取材・文/田中のり子>
榎本美沙(えのもと・みさ)
料理家・発酵マイスター。発酵食品や季節の食材を使ったシンプルなレシピを、雑誌や書籍、テレビなどで提案している。YouTube「榎本美沙の季節料理」はチャンネル登録者数が35万人を突破、インスタグラムを利用した会員制オンライン教室「榎本美沙の料理教室」も好評。新刊『毎日の発酵食材レシピ手帖』(Gakken)が発売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




