暖かさが猫から猫へ伝わっていく
ひんやり底冷えする季節……。
最近、気がつくと猫たちがひとつの場所へ集まっています。
ベッドの中に仕込んだ電気毛布の上。ぽかぽかとした陽だまりと、くたっとしたシーツの柔らかさが相まって、いつのまにか10匹中多い時は8匹がそこに集結してしまうのです。

みんなでホカホカに
誰が最初に陣取ったのかはわかりません。
でも、その子があたためてくれた場所に、次の子がそっと腰を下ろし、さらに別の子が寄り添い、そうしてじわりじわりとぬくもりの輪が広がっていきます。
猫たちは、争いません。
「私の場所」と主張する代わりに、ただ、寄り添います。
くっつく子、端っこに乗る子、そっと毛づくろいをする子。年長のでかおが、ぐいーんと伸びる若いユキに場所を譲ることもあります。
この光景を見ていると、優しさは言葉じゃなく、動きと空気で伝わるものなのだと感じるのです。

最年長のでかおを毛づくろいする最年少サチ
猫に学ぶ、暖かさの循環
人はつい、「自分で幸せを取りに行かなきゃ」と思いがちですが、猫たちは違います。
あたたかい場所を見つけた子が、その場所をただ「のこしておく」。
すると、そこに、次の幸せがやってくる。
誰かが先にあたためてくれた場所へ、自然と集まっていく猫たちを見ていると、そんなふうに優しさが循環する暮らしがいいなあ、としみじみ思います。
そして私も、私がいることで空気がやわらかくなるような、そんな陽だまりのような存在でありたい。そう感じさせてくれる日々なのです。
今日も猫たちは、静かにぬくもりを共有しています。
そこには、言葉も、ルールもありません。ただ、「いま、気持ちいい」があるだけなのです。

でかおのもふもふ肉球
猫から学んだ【優しさの循環】のヒント
――誰かに優しくするって、実はとてもシンプル。
・誰かの居場所を奪わないこと
・無理に励まさず、そっとそばにいること
・「快適な空気」をつくること
・自分が整っている日だけ、優しさを渡すこと
・「完璧」より、「ぬくもり」を選ぶこと
人も猫も、あたたかい場所があると、自然とそこに集まります。
私たちもそう。あなたが今日つくった小さな陽だまりは、きっと誰かの心を、そっとあたためている。
ただ生きているいまに、そっと、「YES」を届けたいのです。

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咲セリ(さき・せり)
1979年生まれ。大阪在住。家族療法カウンセラー。生きづらさを抱えながら生き、自傷、自殺未遂、依存症、摂食障害、心の病と闘っていたところを、不治の病を抱える猫と出会い、「命は生きているだけで愛おしい」というメッセージを受け取る。以来、NHK福祉番組に出演したり、全国で講演活動をしたり、新聞やNHK福祉サイトでコラムを連載したり、生きづらさと猫のノンフィクションを出版する。主な著書に、『死にたいままで生きています』(ポプラ社)、『それでも人を信じた猫 黒猫みつきの180日」(KADOKAWA)、精神科医・岡田尊司との共著『絆の病──境界性パーソナリティ障害の克服』(ポプラ社)、『「死にたい」の根っこには自己否定感がありました──妻と夫、この世界を生きてゆく』(ミネルヴァ書房、解説・林直樹)、『息を吸うたび、希望を吐くように──猫がつないだ命の物語』(青土社)など多数ある。
ブログ「ちいさなチカラ」






