Q:何もないところで「転びそうになる」ことが増えました。原因と予防策を教えてください

いつか派手に転んで大惨事になるかもと思うと……
最近、何もないところでつまずき、転びそうになることが増えました。年配の方の転倒事故の話を聞くたびに、自分にも重ね合わせて心配になります。
なぜ、年を重ねると転びやすくなるのでしょうか。バランス感覚が低下しているのでしょうか? それとも、足腰が弱っているのでしょうか。転びそうになる原因と、転びにくい体をつくるためのポイントや、おすすめの習慣があれば教えてください。
(キララ さん 40代/会社員)
A:筋力の低下やバランス感覚の衰えが心配です。適度な運動や食習慣で筋力アップを

続けやすい軽い運動がおすすめです
転びやすくなる主な原因
今回はキララさんからの「何もないところでつまずいたり、転びそうになる」というお悩みについてお答えします。
転びやすくなる大きな原因は、筋力の低下やバランス感覚が衰えて弱くなることです。
運動不足などが続くと、知らず知らずのうちに下半身の筋力が低下していき、踏ん張りが効かなくなります。また長時間同じ姿勢での作業などが続くと、体の重心をコントロールする感覚、つまりバランス感覚も鈍くなってきてしまいます。
また、まれにパーキンソン病や正常圧水頭症などの脳の病気や腰椎椎間板ヘルニア、糖尿病などによって足の神経の感覚が鈍くなる場合もあります。
視力低下やメガネが合っていないことでも転倒リスクが高まります。そのほか睡眠不足や、逆に睡眠導入剤や安定剤の副作用でも転びやすくなる場合もあります。
転ばないために、いますぐ始めたい習慣
キララさんの場合はまだ年齢が40代ですので、老化というよりも運動不足などによる筋力低下があるのかもしれませんね。
筋肉・バランス感覚を整えるためには、適度な運動が大切です。片足立ち(壁や椅子の背もたれを支えにしてもOKです)や、スクワットなどの運動、ウオーキングやジョギングなどを取り入れるのもよいと思います。
食べ物としては、骨や筋肉を鍛えるため、骨を強くするビタミンDを多く含むキクラゲ、干し椎茸などのキノコ類などがおすすめです。
イワシやサンマ、サケなどの魚類、筋肉の原料になるタンパク質を多く含む肉類、魚介類、卵、大豆製品などもしっかりとりましょう。
これらを含む食材を意識したバランスのよい食事を心がけてください。
また、質のよい睡眠は、筋肉の修復や中枢神経のバランス調整に不可欠です。しっかり睡眠をとることをまずは心がけてください。
それでもつまずきやすさが改善されない場合には、一度整形外科や脳外科などを受診されても安心ですね。
転ばないためにおすすめの漢方薬
漢方では、三半規管からくるめまいに使う五苓散(ごれいさん)や、立ちくらみのようなめまいに使う苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、元気をつけて足腰をしっかりさせるのに使う真武湯(しんぶとう)などもあります。
今回の記事がキララさんはじめ、転びやすさにお悩みの皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。
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來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
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