離れて暮らす家族や気心知れた友人などを招く、肩肘張らない、いつものおもてなしについて料理家の柳瀬久美子さんに教えていただきました。
(『天然生活』2019年10月号掲載)
野菜たっぷりのエスニック
「おもてなしには煮込み料理が定番です。
火入れが安心だし、つくるほうも食べるほうも焦らされない。鍋ごと食卓に出せるし、冷めたらそのまま温め直しができるのもいいですよね」と柳瀬久美子さん。
メインのロールキャベツは、牛肉にスパイスを加えて風味よく。同じ鍋に大ぶりに切ったかぶやズッキーニを一緒に入れて火にかければトロトロに煮上がり、スープにも野菜のうま味がしみ出ます。
「家族や友人にも野菜をたっぷり食べさせたくて、おもてなし料理でも野菜がふんだんに食べられるように工夫しています」

イエローのナプキンをアクセントにして、染め付けやガラスなどいろいろな器を組み合わせたテーブルセッティング。リムの面積が絶妙な白いプレートは、日本の作家さんもの。
野菜といえば、テーブルでひと際目立っていたのが春巻きに添えられたたっぷりの香菜!
「手のほうが食べやすいんですよ」とのことで、春巻きを食べつつ香菜も口へ運ぶとさわやかな香りが口いっぱいに広がります。
野菜がたっぷりで、ちょっぴりエスニックのミックススタイルな献立。器も料理に合わせて自由に組み合わせるのが柳瀬さん流です。
「ガラスや民芸、日本の作家ものなどを自由に組み合わせてみました。普段着のおもてなしなら、クロスはひかずにランチョンマットでカジュアルが気分ですね」
肩肘張らないおもてなしを心掛けるという柳瀬さん。けれども、会話が弾むおつまみを用意したり、お花は卓上ではなく視野に入る場所に置いたりと、何気ない心遣いがそこかしこに表れています。
〈撮影/宮濱祐美子 取材・文/結城 歩〉

柳瀬久美子(やなせ・くみこ)
料理家。長年、料理とお菓子の教室を主宰している。とくに、お菓子のレシピにファンが多く、つくりやすく絶品と定評がある。『濃いめがおいしい至福のプリン』(共著・家の光協会)のほか著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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