(『天然生活』2024年12月号掲載)
「冬の不調」は変わらないリズムのライフスタイルが一因?
体のつらさや心の悩みなど、不調に悩む人に寄り添う毎日を送る、漢方家・櫻井大典さん。一年を通してほぼ変わらぬリズムで過ごす現代の生活スタイルが、冬の不調を招く一因だと話します。
「漢方の礎である中医学では、人間も自然の一部であると考えます。人も自然の流れに沿って暮らすことが、重要なのです」
刻々と移ろう自然をお手本にすれば、人も生き生きと元気に過ごせるという、至ってシンプルな考え方。
その上で、中医学の考える冬という季節は、「“抑える”“ためておく”時期」にあたるのだそう。
「なんのために“ためておくのか”というと、春にちゃんと芽吹くことができるようにするためです。春には草木が一斉に芽を出し、夏にはぐんぐんと成長しますよね。そのためには、エネルギーが必要。春に芽吹くために、前の季節で植物たちは根や種にじっくりとパワーをためているのです。つまり、そういう季節を『冬』と捉えるわけです。
だから本来であれば、人間も、冬は無理せず、がんばりすぎず、エネルギーを温存しておくのがベストな時季。発言を控え、新しいことも始めず、ぬくぬく温まりながら、食べて眠ってしっかり休む。たまに体を伸ばすぐらいのゆるやかな運動にとどめて、あらゆることに対して控えめに。冬の間はお正月みたいな過ごし方を続けるのが、本当は理想なんです」

積極的に、貪欲に「休む」意識を
とはいえ、そうできない現実も。まずは休む意識を持つことから。
「年末は、会食が重なったり、仕事納めや大掃除と、忙しい事情もよくわかります。でも、裏を返せば、本来休む季節にせわしなく動くから、体調をくずすということにも。冬に休むことで春によいスタートが切れ、夏の成長と秋の実りが期待できます。冬は積極的に、貪欲に休む! まずはそう意識することから始めましょう」
この冬こそ、がんばって休む。積極的のんびりを合言葉に、貪欲にだらだらと過ごしましょう。
冬を乗り切るための漢方のポイント3つのポイント
冬を乗り切るための漢方のポイント
◯がんばらない、無理をしない
◯食材は潤い・温め・滋養を意識
◯温まりながら貪欲に休む、寝る

〈監修/櫻井大典 取材・文/遊馬里江 イラスト/はしもとゆか〉
櫻井大典(さくらい・だいすけ)
漢方コンサルタント、国際中医相談員、日本中医薬研究会会員。中医学の知恵を、現代に取り入れやすいようにかみ砕いで発信した、SNSのユニークな投稿が人気に。電話、Skypeで漢方相談にのる日々を送る。著書に『こころゆるませ漢方養生』(扶桑社)など。
HPhttps://yurukampo.jp/
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※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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