• 急な冷え込みや慌ただしさで、つい体調をくずしがちな冬。漢方家の櫻井大典さんに、冬を元気に過ごすための体と心の“休ませ方”を教わりました。四千年以上も昔から人々の健康を支え、伝えられてきた中医学。先人たちが紡いだ知恵から、寒い冬を乗り切るヒントを学びましょう。
    (『天然生活』2024年12月号掲載)

    無理は禁物。冬の体と心の「休ませ方」

    01 なんでものんびり、無理せずがんばらず

    画像: 01 なんでものんびり、無理せずがんばらず

    冬といえば、正月太りをはじめとして、体重増が気になる時季でも……。

    「冬は“蔵”の時季で、蓄えるとき。がんばらないことが冬の養生です。むしろ貯蔵の時季に活動すると、春にエネルギーが足りないことに。それに正月太りとよくいいますが、そんなに短期間で脂肪がつくことはありません。

    塩分や水分が多いことによるむくみ太りは、通常の生活になれば自然と元に戻ります。大汗をかくほど激しい運動はエネルギーを消耗するうえ、乾燥しがちな冬に発汗して潤いも逃がしますから、軽く、ゆるめに、体を動かす程度にしておきましょう」

    02 お風呂につかってぬくぬくリラックス

    画像: 02 お風呂につかってぬくぬくリラックス

    寒さ厳しい冬は、入浴をシャワーだけで済ませず、温かい湯にしっかりつかり、物理的に体を温めてあげることは、やはり大事です。

    「40℃のお湯に、腰の上からおなかあたりまではしっかりつかって、15分を最長につかるのがおすすめです。熱ければ38℃ぐらいでもいいですが、発汗することで体の潤いが逃げてしまうので、時間は15〜20分に。また、心臓への負担を避けるために、つかるのは心臓の下ぐらいまでに。お湯につかるのが苦手という場合は、着衣のまま、15分ほどの足湯もおすすめですよ」

    03 早起きを習慣づけ、昨日よりも早く寝る

    画像: 03 早起きを習慣づけ、昨日よりも早く寝る

    自然がお手本の中医学。陽が落ちるのが早く、休むことが養生の冬は、早寝して睡眠時間も長くとりたいところです。

    「理想をいえば21時が就寝時間です。とはいえ、現代人には難しいことも理解していますから、日付が変わる前、せめて23時を目標に。それでも難しい場合は、昨日より5分でも10分でも早く眠ることを心がけましょう。

    眠れないという人は、早くベッドに行くことよりも、まずは早起きの習慣づけから。眠くてもとにかく早く起きて活動を開始するペースを続けることで、夜に自然と眠くなってくるはずです」

    04 好みの香りで、心もたっぷり休息を

    画像: 04 好みの香りで、心もたっぷり休息を

    冬に休むのは、心も同様です。

    「過度に刺激となることは避け、心の安定を意識した暮らしが冬は望ましいです。たとえば香りを利用するのは、どの季節でもどの状態においてもおすすめ。僕は「アヴェダ」のロールオンの香りが好きで、鬱々としたときにかいでは、リラックスしています。

    好きな香りであればいいので、その香りも存分に味わいながら柑橘類を食べる、というのもいい。また、高いところから遠くを見ることもストレス発散にはおすすめです。“気を移す”といい、自分の心のなかにあるものをその景色のなかに移す行為にあたります」



    〈監修/櫻井大典 取材・文/遊馬里江 イラスト/はしもとゆか〉

    櫻井大典(さくらい・だいすけ)
    漢方コンサルタント、国際中医相談員、日本中医薬研究会会員。中医学の知恵を、現代に取り入れやすいようにかみ砕いで発信した、SNSのユニークな投稿が人気に。電話、Skypeで漢方相談にのる日々を送る。著書に『こころゆるませ漢方養生』(扶桑社)など。
    HPhttps://yurukampo.jp/
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    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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