本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、手仕事と本の世界を静かにつなぐロバの本屋店主・いのまたせいこさん。いのまたさんの心に響いた“この一冊”、今回は『歩道橋の魔術師』です。
いのまたさんが選ぶ“この一冊”
『歩道橋の魔術師』
心地よい読書体験が味わえる本を教えてくれた、いのまたさん。今回おすすめしてくれたのは、呉明益著、天野健太郎訳『歩道橋の魔術師』です。

『歩道橋の魔術師』(呉明益著 天野健太郎訳 河出書房新社)
台湾の作家・呉明益の『複眼人』を読んでハマって、その次に読んだのがこの本。
1980年前後の台北・中華商場を舞台にした短編集。子どもたちが繰り広げる不思議な物語はゆるく繋がっていて、どの物語にも魔術師の存在が絡んでいる。
舞台である中華商場はどことなく懐かしい雰囲気。戦後の復興の時代の日本と被るせいかもしれない。
どの物語のなかにも当時の台北の独特な世界観が漂っていて、読んでいてたまらなく心地よい。
台湾の小説がこんなに面白いなんて知らなかったから、ほかの台湾の作家の本も読んでみたい。
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天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。ロバの本屋・いのまたせいこさんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/いのまたせいこ〉
いのまた・せいこ
東京で8年間「ROBA ROBA cafe」を営んだのち、山口県に移住。2012年、山間の集落にて元牛舎を改装し、カフェ併設の「ロバの本屋」を開店。店内には、紙ものや生活雑貨、毛糸なども選りすぐられ、展示や編み会も定期的に開催。紙の感触や経年変化を大切にしつつ、手仕事と本の世界を静かにつなぐ場を育む。
HP:https://www.roba-books.com/
インスタグラム:@roba_no_honya






