本をこよなく愛する本屋店主5名の、心に響いた一冊をご紹介。店主のまっすぐな言葉で本の魅力をお届けします。紹介してくれるのは、本と静かに向き合える余白の時間を大切にするtwililight店主・熊谷充紘さん。熊谷さんの心に響いた“この一冊”、今回は『体の贈り物』です。
熊谷さんが選ぶ“この一冊”
『体の贈り物』
読み継がれてほしい本を教えてくれた、熊谷さん。今回おすすめしてくれたのは、レベッカ・ブラウン著、柴田元幸訳『体の贈り物』です。

『体の贈り物』(レベッカ・ブラウン著 柴田元幸訳 twililight)
死や、なんなら生きるということもほとんど考えたことがなかった大学生のころ、祖母の余命がわずかという連絡を受け、東京から地元の愛知県に帰った。
見舞いに来た私に祖母は頑張りすぎないでいいよ、そのままでいいよとエールをくれた。
帰りの新幹線でバッグに入れてきた『体の贈り物』をめくる。エイズ患者とホームケア・ワーカーがそれぞれの役割を介して目の前のあなたを目撃し合う。
死にゆく祖母を前に私はなす術もなかったが、私が一緒にいるということそのものが何か力になっていたのかもしれないと思えて、初めて、生きようと思った。
自分が役立つことを証明しないと見えないものとされてしまう社会のなかで、生きている、それだけで誰もが誰かの贈り物になることを教えてくれるこの本。
あるとき絶版になってしまったので、twililightで復刊しました。
* * *
天然生活2025年12月号では、「本屋店主の心に響いた、この一冊」を紹介しています。twililight・熊谷充紘さんをはじめ、魅力的なお店を営む5名に、歩みを照らしてくれた本を教えていただきました。あわせてお楽しみいただけましたら幸いです。
〈文/熊谷充紘〉
熊谷充紘(くまがい・みつひろ)
東京・三軒茶屋で本屋・ギャラリー・カフェを併設した「twililight」を営む。2011年3月11日の震災を機に会社員を辞め、編集やイベント企画を経て、2022年3月11日に店舗をオープン。選書・執筆・出版を手がけ、本と静かに向き合える余白の時間を空間に反映する。自社で復刊した「体の贈り物」はこの秋重版に。
HP:https://twililight.com/
インスタグラム:@twililight_






