人生に迷ったとき、一歩を踏み出せないとき、頼りにしている言葉はありますか? 呪文のように唱えれば、うまくいくような気がする、そんな言葉を料理研究家の門倉多仁亜さんに教えてもらいました。
(『天然生活』2025年1月号掲載)

母が教えてくれたドイツ人として大切なこと
母から受け取った生き方の基準
何事もバランスが大事
「文化が交わる家で生まれ、さらに転勤族だったため親や親戚、先生、友達の親など、さまざまな国や文化の人と接する機会がありました。これは自然と生まれた私の口癖。心も体もバランスを保って生きていくのが目標です」
日本に長くいると、控えめにするのがよい・人の思いを察するとよい・静かにしているのがよい。
つい、そんなふうに思いがちです。外国の女性たちと食事した際、その勢いに圧倒され、私は思わず聞き役に徹してしまいました。
それを母に話したところ「それはとても失礼なこと。思いを伝えるに値しないというメッセージを出していることに」と言われ、はっとしました。
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自分の気持ちをきちんと伝えるために
言葉にできないのは子ども、言葉にするのが大人
母より
「ドイツ人の母が私にドイツ人の教えの基本として教えてくれた言葉です。私はドイツ人の母と日本人の父を持つため、両方の文化のよさを尊重しつつも、母なりに『これだけは』と伝えてくれたのだと思います」
上記の言葉は、ドイツではまだ言葉がしゃべれない子どもと話す場合は相手の意向を察する必要があるけれど、大人の場合は思いを察するということは失礼にあたるという意味があります。
相手をおもんぱかることがよいとされますが、自分の思いを伝えることの重要さについても、改めて考えさせられています。
<イラスト/平野瑞恵 取材・文/結城 歩>

門倉多仁亜(かどくら・たにあ)
日本人の父とドイツ人の母を持ち、ドイツ、イギリス、アメリカ、香港などで育つ。現在は鹿児島県鹿屋市に住み、自宅で料理教室を行う。最新刊は『ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




