(『天然生活』2025年1月号掲載)
太古から人々の心を惹きつけてきた、星空の「不思議な力」

考えてみれば、太古の昔から人々は空を見上げ、星々の美しさと調和に満ちた動きに驚きのまなざしを向けてきました。
それは、数学や音楽をはじめとする数々の文化をつくりあげ、限りある人生と永遠を結びつける宗教や哲学を生み、明日への希望を夢見てきました。このように、人々の心を惹きつけてきた星空の不思議な力はどこからきたのでしょうか。
その理由のひとつは、星空だけが、どんな人にたいしても、そしてどこにいようとも、分け隔てなく輝き、やさしい光を投げかける存在だからでしょう。
もうひとつは、私たちの宇宙は、今から138億年の遠い昔、一粒の光からさりげなく誕生したことが現代宇宙論の研究からわかっています。その原初の光の雫が集まって星になり、星は光り輝く過程で、私たちのいのちを構成するすべての元素を造りました。
そして、燃料が枯渇して、超新星爆発というかたちで終焉を迎え、みずからのカケラを宇宙空間にばらまき、それが重力で凝集して地球になり、そこから私たちが生み出されたわけですから、私たちは、すべて星のカケラであり、広大無辺な宇宙こそが‟ふるさと”だということになります。
私たちが星を見上げ、亡くなった人のことを‟星になった”、‟星に戻った”などと表現する背景には、そのような想いが、潜在的にあるためかもしれません
〈イラスト/松栄舞子〉
佐治晴夫(さじ・はるお)
東京都生まれ。理学博士。東京大学物性研究所を経て、玉川大学教授、県立宮城大学教授、鈴鹿短期大学学長を歴任。現在、同大学名誉学長、大阪音楽大学客員教授、北海道・美宙天文台台長。宇宙創生に関わるゆらぎの研究、宇宙研究の成果を平和教育のリベラルアーツと位置づけた実践で知られる。著書は『宇宙のカケラ』など90冊を超える。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



